Kyoto Shimbun 1999.6.3 私の経営論
 情報通信で海外展開
京セラ次期社長
西口 泰夫氏

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 創業四十年の節目に、伊藤謙介社長から後継指名を受け、社長に内定した。二十四年前に技術者として入社し、電子装置や情報通信機器などの製品開発や市場開拓の先頭に立ってきた。稲盛和夫名誉会長ら創業メンバーからバトンを受けた「第二世代社長」に、新世紀へのかじ取りを聞いた。

 目標は売上高1兆円

 ―社長内定と同時に、二〇〇一年度に連結売上高一兆円を達成する、という目標を掲げたが。

 「経営計画は、まだ決めていないが、『まず一兆円にしよう』ということにした。物事はシンプルな方が、はっきりしていいでしょう」

 ―今年三月期の連結売上高は七千二百五十億円。目標達成への目算は。

 「大きく伸びるのは、通信と情報の分野だ。単に通信機器、情報機器というのではなく、京セラのセラミックスや電子部品など五つの事業本部の中で、通信と情報にかかわる部分を洗い出して、戦略的に伸ばして行きたい。すでに、各本部にどんな可能性があるのか、本部長と議論を始めている。三年あるので達成の可能性は十分ある」

 ―主力の通信機器は最近、停滞しているように見えるが。

 「日本の市場は、携帯電話の伸びが鈍っている。京セラはこれを予測して、ここ数年、海外展開のための準備を進めてきた。技術陣を衛星携帯電話イリジウムや、欧州のデジタル携帯電話方式GSMに向けるなど、リソース(経営資源)を分散させている。現在の状況は織り込み済みで、やむを得ないと思っている」

 ―世界の通信市場はさらに伸びるということか。

 「世界市場は日本とは全然違う。世界の携帯電話の加入者数は現在の約二億五千万人から、五年後には五、六億人になると思う。買い換え需要も大きく、年に三割が買い換えるだけで、一億五千万台の端末市場だ。さらに、固定電話網も、中国や東南アジア、南米、東欧などでこれから普及する。コンピューターも通信網が不可欠になっており、情報通信市場は劇的に伸びていくだろう」

 「デジタル・アンド・ワイヤレスという冷戦時代に高められたキーテクノロジーを、われわれは手にしている。一方で個人が活動的になり、社会全体が通信インフラの整備を求めている。シーズ(技術の種)があってニーズがある―今はそういう時代だと思う」

 新規事業が私の仕事

 ―経営の重点分野として、通信とともに環境と生活文化を挙げているが。

 「環境に優しいエコシスプリンターや太陽電池などの環境保護製品に市場性が出てきた。生活文化もシルバー関連や装飾品など時代的な背景があり、徐々に伸びていくと思う。それぞれ地道に積み上げ、次のステップに備えたい」

 ―創業「第二世代」の社長としての役割は。

 「なぜ次期社長に選ばれたのかを考えると、僕はこれまでずっと新規事業を担当してきた。だから、全社的にもっと新規事業をやりなさい、ということではないかと思っている。世の中にないものをつくり出すことは、並大抵のことではない。並大抵ではない努力や仕事をやり遂げるのが、京セラのフィロソフィー(哲学)だ」

(政経部 藤木泰嘉)

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