園部中時代に恩師や

  友人と裸でぶつかり

   自分を知ることができた


 川勝 堅二さん(国立京都国際会館理事長・東京都)



 亀岡盆地の八木町が私のふるさとです。信仰の厚かった祖母とのお参り、旧制園部中の古い城跡の門まで園部駅から五年間通った道。今も記憶に残る大切な思い出です。

男女共学となった現在の園部高。校門へと続く坂道を歩く姿は、今も変わらない
 仕事柄、海外との接点も多く、冷戦が終わればようやく平和な時代が来るかと予想していましたが、残念ながらそう簡単にはいかない。逆に、世界や日本では物質と精神のバランスがゆがみ、大きな変わり目がやってきている。若いみなさんはそのことを認識してほしいと思います。具体的に言えば、IT(情報技術)革命と国際化が、すべてのものごとの分母となって世の中が進んでいくだろう。日本は、右肩上がりの成長が過去のものになり、中国の追い上げもあって国際的な競争の中で相当厳しい立場が続くでしょう。

 そんな新しい時代に、若いみなさんはどうすべきか。個人の確立へ、努力していただきたいのです。といって、ただちに机に向かって勉強だけすればいい、というものではありません。土に親しみ、太陽に当たって人間は成長していきます。

 銀行勤務のころ、人事研修課長として若い人たちが伸びていくのを見てきた立場から言えば、人間・人格形成に「こうすればいい」という公式はない。確かに教育は難しい問題ですが、言えるとすれば知識偏重ではなく、人間についても学んでほしいのです。

 私の場合、園部中時代に熱心な恩師、優秀な友人たちに恵まれました。あらゆる人たちと裸でぶつかり、相手を知ると同時に自分を知る。個人を確立するというのは、そういうことです。ロンドン勤務の際、家庭教師の英国人が年齢に比べ、たいへん落ち着いていることに驚きました。個人を確立していたからだと思いますが、「世界をリードするには日本人はまだまだ」と痛感しました。

 自己を確立できれば、「独立自尊」をめざしてほしい。自分で考え、調べて学び、決断して実行する。大事なことは、そのことについて、自分で責任を取ることです。世界が激しく変わっていこうとも、これはいつの時代にも通用する考え方ではないでしょうか。加えて、人間に対する信頼を持つこと、相手の長所を見ることが大切です。

 海外勤務になると、決まって八木町の大堰川の堤防から眺めた愛宕山が思い出されました。若いみなさん、激動の時代に活躍の場は無限にあります。目的を持ち、強い意志を養い、国内外に多くの友人を持てば世界が開けてくるでしょう。(2001.11.11 掲載)

 かわかつ・けんじ 1924年生まれ。旧制園部中(現園部高)を経て東京商科大(現一橋大)卒。三和銀行頭取、会長、相談役を経て現在顧問。経済団体連合会副会長など歴任。1996年国立京都国際会館理事長就任。東京都在住。

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