喫茶店でのやりとり眺め育つ

  園部小の学芸会も演出担当


 黒木 彰一さん(フジテレビプロデューサー・東京都)


 園部のまちって、吉本新喜劇の舞台のようにさまざまなキャラクターの人たちが住んでいて面白いなあ。昔からそう思っていました。まちの規模も大きすぎず小さすぎず。閉鎖性も意外にないでしょう。番組の演出で、ふるさとの人たちを登場人物になぞらえて考えることもあるんです。

 実家は喫茶店「三洋苑」。一歩引いたカウンターの内側から、お客さん同士のやりとりを眺めて育ちました。だから、ぼくは人の集まる場所「サロン」が好きなんです。

 担当している番組「SMAP×SMAP」も、メンバー5人を中心に人が集うサロンのようなもの。いつも何かが生まれる場所でありたいと願っています。幼いころから見てきた店での様子が、どこかで下敷きになっているように思います。

 鉄道好きで、園部小では国鉄クラブを結成。福知山鉄道管理局に見学に行きました。店の常連さんで、実家の隣に住む野中広務さんには時々、子供ながらにいろいろなお話をうかがったり、東京みやげに記念切符をいただきました。

番組収録の準備をする黒木さん(2004年7月30日・東京都港区のフジテレビ)
 日下部治先生(現園部町教委)、中田玲子先生、俣野弘和先生(現大井小)ら担任の先生に恵まれました。4年の学芸会では「猿カニ合戦」を演出。笑いをとろうと一生懸命考え、脚本をアレンジ。残念ながら、あまり理解してもらえなかったけれど「自分にとって面白いものは、みんなにも好きになってほしい」といつも思っていました。

 三洋苑は1960年代、音楽を流していたらしく、物置にビートルズやタイガース、スパイダースなどのレコードがたくさんほこりをかぶっていました。中学のころに見つけ、次第に音楽に熱中するようになりました。

 小向山、天神山での昆虫採集も大好き。両親も子供の時、この同じ場所で遊んでいたんです。「スローライフ」という言葉の流行の前から、自然と人との距離が理想的なサイズの盆地やったなあ、と感じます。帰省した時、今も天神山を眺めて一服するのが楽しみですね。

 テレビ制作の仕事に就きたい若い人たちに言えるのは、当たり前のことしかありません。たくさんの友人を作り、いっぱい人と話をする、虫捕りをするといった経験を日々積み重ねることが大事ではないでしょうか。ふるさと口丹波は、実はそれができる最適な環境があると思うんですよ。(2004.8.1 掲載)

 くろき・しょういち  1969年園部町生まれ。園部小、洛星中、同高、早稲田大卒。94年フジテレビ入社。「FACTORY」ディレクター、「BACK―UP!」演出を経て現在は「SMAP×SMAP」プロデューサー、「笑っていいとも!」金曜担当ディレクター。東京都豊島区在住。

▲index▲