京都新聞
紙面特集

 「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋」展
MIHO MUSEUM

茶禅一味の境地

曜変天目(国宝)」南宋時代 12~13世紀

 「茶禅一味」―。茶の湯で大切にされる言葉の一つだ。茶の湯を学ぶ心と禅の心が一体となることを求める。21日から始まるMIHO MUSEUMの春季特別展「大徳寺龍光院(りょうこういん) 国宝曜変天目と破草鞋(はそうあい)」は、400年にわたって大切に守り伝えられてきた曜変天目茶碗などを通し、そうした境地を伝える。

 龍光院は大徳寺の塔頭の一つで、黒田長政が父考高(よしたか)(如水、官兵衛)の菩提(ぼだい)を弔うため、江月宗玩(こうげつそうがん)(1574~1643年)を実質的な開祖とし、1606(慶長11)年に建立した。小堀遠州や松花堂昭乗らも集う、寛永文化の発信地でもあった。

 江月宗玩は、堺の豪商で茶人としても知られる天王寺屋・津田宗及(そうぎゅう)の次男で、そうした縁から数多くの茶道具が伝来した。国宝の曜変天目もその一つ。両手に包み込めるほどの漆黒の茶碗は、内側に大小の斑文を散らばらせ、鮮やかな光彩を宿す。

小堀月浦和尚と龍光院兜門(重要文化財)

 同展では、曜変天目をはじめ、南宋(なんそう)の高僧密庵咸傑(みったんかんけつ)や元から来日した臨済宗の高僧竺仙梵僊(じくせんぼんせん)の墨跡、伝牧谿(もっけい)筆「柿・栗図」や伝馬遠筆「山水図」、油滴天目茶碗など天王寺屋伝来の茶道具のほか、松花堂昭乗筆「十六羅漢像」なども公開。桃山から寛永、そして現代へと、祈りの心とともに脈々と受け継がれてきた同院所蔵の文物約450点のうち、200点余りを展観し、江月宗玩の生涯や紫野仏法の法脈、今に至る龍光院の歩みをたどる。

 小堀月浦住職は、「破草鞋」をうち捨てられて見向きもされないものとし、禅の心を「人間性や人格を自覚すること」と説く。展示された文物を見つめれば、自らと向き合う時間となるかもしれない。


大井戸茶碗(龍光院井戸)」 朝鮮王朝時代 16世紀
「唐物丸壺茶入(宗及丸壺)付菱形内黒外屈輪文盆
津田宗及・江月宗玩所持 南宋時代 12~13世紀
油滴天目付螺鈿(らでん)唐草文天目台天字印・分銅形印
伝津田宗及・江月宗玩所持
茶碗/金時代 12~13世紀
天目台/琉球 16~17世紀

伝牧谿筆「柿・栗図」(重要文化財)の「栗図」 南宋時代13世紀
=4/9~5/6展示
伝牧谿筆「柿・栗図」(重要文化財)の「柿図」 南宋時代13世紀
=4/9~5/6展示
「津田宗及竹茶杓」
桃山時代 16世紀
密庵席(国宝)と「密庵咸傑墨跡 璋禅人宛法語」(国宝)南宋時代1179年
=3/21~4/7展示
案内
■会   期3月21日(木・祝)~5月19日(日)
※月曜、4月30日、5月7日は休館。4月29日、5月6日は開館。一部展示替えあり
■開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
■会   場MIHO MUSEUM(甲賀市信楽町田代桃谷300)
■主   催MIHO MUSEUM、日本経済新聞社、京都新聞
■入 館 料一般1100円、高校・大学生800円、小・中学生300円 20人以上は各200円割引
■問い合わせMIHO MUSEUM 0748(82)3411
■イベント&プログラムいずれも当日整理券配布、無料
▽講演会
(1)3月31日=門脇むつみ(美術史家)「開祖・江月宗玩と龍光院の宝物」
(2)4月14日=山川暁(京都国立博物館企画・工芸室長)「染織品に見る大航海時代-龍光院所蔵品から-」
(3)4月21日=小林仁(大阪市立東洋陶磁美術館学芸課長代理)「曜変天目の魅力と謎に迫る」
(4)4月29日=朝賀浩(京都国立博物館学芸部長)「龍光院宝物の魅力」
(5)5月12日=池田俊彦(建築史家)「密庵席-龍光院の建築」
※いずれも午後2時から、定員100人

▽龍光院の小堀月浦和尚による坐禅(ざぜん)の会
3月28、30日、4月4、6、11、13、18、20、25、27日、5月9、11、16、18日の午後2時~3時半(入れ替え制で各2回)。定員1回50人
※3月28日は午後2時45分から、4月6日は西村古珠・寳林寺住職による紙芝居「大燈国師物語」があり、各1回のみ。

▽龍光院三会
・看松(かんしょう)会(茶書講義の会)=3月23日午後2時、熊倉功夫館長の特別講演「龍光院の茶の湯」
・寸松(すんしょう)塾(論語の勉強会、小学生以上の親子対象)=3月24日午後1時、安岡定子(論語塾講師)の「こどもと大人のための論語塾」
・欠伸(かんしん)会(江月宗玩語録の勉強会)=4月7日午後2時、芳澤勝弘(禅学・禅宗史研究家、花園大国際禅学研究所顧問)の特別講演「江月和尚と欠伸稿(かんしんこう)」
※いずれも定員100人


【2019年3月19日付京都新聞朝刊掲載】