女性ランナー 新時代への提言
山下佐知子さん(第一生命女子陸上部監督)


 結果が重要 自己責任で



 −高橋尚子らの活躍で、女子長距離への期待がますます高まっている。

 「マラソンでは日本が世界をリードしています。でも、シドニー五輪のようにトラックの一万メートルや五千メートルでは勝てない。身体能力の面で、これまでのように努力や練習の工夫で太刀打ちできる問題なのだろうか、とも思う。マラソンでも今は、ほとんどの大会でアフリカの選手が入賞し、追いつかれている。トラックで起きていることが、マラソンでも起きないかという危ぐがあります」

 −世界のトップクラスで戦い続けるために必要なことは。

 「クロスカントリーやトラックにしっかり取り組む必要がある。スピードや体の動きを追求するトレーニングを大事にしていかないと。体を削ぎ落として走り込んだだけでは、やっていけないところに来ている」

 −選手自身に必要なことは。

 「実業団の場合ですが、活躍しなければ食べていけない、というくらいの厳しい気持ちがほしい。給料をもらいながら、自分で体調管理ができず練習のできない選手を見ると、ちょっと違うなと思う。今はそれが許される環境だからそうなるのですが、よその国ならよほどの一流選手でなければ得られない環境にいる」

 −不況下で廃部となる実業団も増えた。

 「どのチームも選手の育成に時間をかける余裕がなくなってきたように思います。だが、これまでが恵まれ過ぎていたので、正常になっていく過程と受け止めています」

 −これからの実業団は。

 「世界の舞台で継続して入賞し、メダルを取ってこられたのは企業の力があったからこそ。これまでは企業が底辺を広げ、支えてきたが、これからの実業団は狭き門でいいと思います。本当に努力し、やる気があって、力もある選手だけが生き残り、より強くなる時代になるのでは」

 −選手も変わる。

 「小泉首相じゃないですが、自己責任だと思います。選手も指導者も痛みを伴いますが、もっと結果オーライになるべき。指導者が私生活まで管理し、責任を負うのではなく、社会人なんですから。周りも選手を自立した大人として見てほしい。例えば選手が結婚、出産しても結果が出せればいい。ただ、周りの理解がなければそういう選手も出てこない。年俸制にするとか。やって出来ないことじゃないと思います」

 やました・さちこ 鳥取大卒。京セラ時代にマラソンで1991年世界選手権2位、バルセロナ五輪4位。全国女子駅伝には鳥取、鹿児島から計11度出場。96年から第一生命監督。日本陸連理事も務める。


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