京都新聞
紙面特集

近世京都の寺社参詣
龍谷大龍谷ミュージアム(特集)

「東山遊楽図」(江戸時代 龍谷大龍谷ミュージアム蔵)

巡礼兼行楽 庶民を魅了

 年間5千万人以上が訪れる観光都市・京都。寺社への参拝とともに物見遊山を楽しむスタイルは、江戸時代に源流を見いだせる。龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区)で14日から始まる特集展示「近世京都の寺社参詣」は、京の町絵師らが書き残した人気観光エリア・東山の祭礼屏風(びょうぶ)や名所図会を通じ、華やぐ京の情景や往時の流行をいまに伝える。

「東山祭礼遊楽図」(部分 江戸時代)
「山城眼鏡橋図」
(2代目歌川広重筆 江戸時代 龍谷大蔵)
西本願寺阿弥陀堂天井画の「波図」(江戸時代)

 元祖 京の観光ルート案内

 戦国時代に荒れた都は、天下を統一した豊臣秀吉が復興を進めた。秀吉の子・秀頼も、父の遺志に加え、豊臣家の散財を狙った徳川家康の思惑が合わさり、秀吉建立の方広寺で大仏を再建したほか、北野天満宮や南禅寺などの建物を整えた。豊臣家を滅ぼした徳川家も清水寺本堂などを寄進し、江戸初期ごろに主要な寺社の境内を再興した。泰平の世となり、右肩上がりの人口と経済力を追い風に、京都の観光は華やぎを増してゆく。

「都名所独案内図」(部分 江戸時代 龍谷大蔵)
「京都大仏殿御図」(江戸時代 龍谷大蔵)

 紹介するのは、にぎわう名所と集う人々をとらえた屏風や、ガイドブックにもなった絵図など計17の展示物。屏風絵「東山遊楽図」は、祇園社(八坂神社)など鴨東の情景に、西国三十三所観音霊場を訪ねる巡礼者や、寛永期(1624~44年)にはやった髪形と和装で出掛ける行楽客を描き入れる。

 地方から来た巡礼者が一人歩きできるよう「都名所独案内図」は、東山のモデルコースを示す。旅慣れた人が増えれば、奥深さを求めるようになる。東大寺をしのぐ大きさの大仏を誇った方広寺の「京都大仏殿御図」は、建物の絵図に、由来や寸法を書き添える。

 これらの多くは無名の町絵師たちが手掛けたが、中には2代目・歌川広重の筆「山城眼鏡橋図」もある。親鸞600年大遠忌を期して大谷本廟前に1856年にできた2連アーチの円通橋を、丸眼鏡に例えて満開の桜とともに描く。

 特集展示に伴い、インドから中国・朝鮮を経て日本に伝わった仏教の歴史が分かる品々や、修復を終えたばかりの西本願寺阿弥陀堂の天井画「波図」も陳列する。近世巡礼者を京都へといざなった精神文化とその美の一端にも触れられる。


案内
■会  期7月14日(土)~8月19日(日) 月曜休館(祝日の場合は翌日)
■開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
■会  場龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル・西本願寺前) 075(351)2500
■主  催龍谷大龍谷ミュージアム 京都新聞
■入 館 料一般500円(400円)シニア・大学生400円(300円)高校生300円(200円) ※かっこ内は20人以上の団体 シニアは65歳以上

《関連イベント》

スペシャルトーク7月21日、8月4日午後1時半~、講義室で学芸員が解説(観覧券、半券が必要)
ギャラリートーク7月28日、8月11日午後1時半~、展示室で学芸員が解説(当日の観覧券必要)
納涼ふるまい冷緑茶8月5日午前10時~、正門付近(なくなり次第終了)
門前町まちかどコンサート8月16日午後4時~、エントランスホールで龍谷大ジャズ研究会が演奏
学芸員のシゴト
~展覧会ができるまで
 特別展編~
8月10日午後5時半~ 講義室で学芸員が解説(定員40人、当日の観覧券必要)
事前申し込みが必要で、詳細は龍谷ミュージアムホームページへ
【2018年7月13日付京都新聞朝刊掲載】