京都新聞
紙面特集

特別展「信楽に魅せられた美の巨匠たち」
甲賀・滋賀県立陶芸の森


横尾忠則「1960s」(1985年)
「カマから五作目が焼き上がってくる。色が少々どぎついが六十年代がテーマだからこれでよし」

湖国の陶郷 息づく造形美

 日本六古窯の一つとして中世以来の歴史を誇る陶郷・信楽とゆかりのある芸術家たちの交流を紹介する特別展「信楽に魅せられた美の巨匠たち」が6日から甲賀市信楽町の滋賀県立陶芸の森陶芸館で開催される。富本憲吉や河井寛次郎ら陶芸家をはじめ、岡本太郎や横尾忠則など絵画や彫刻の世界で活躍した作家13人の作品や関連資料を通して信楽のやきもの文化の魅力を探る。

 展示は3部構成。「理想を求めて-近代思潮と個人作家の挑戦」は、信楽で「生活と芸術」「地方の復権」をテーマに自らの芸術活動のあり方を模索した富本憲吉や河井寛次郎、濱田庄司らの足跡をたどる。さらに戦後の熊倉順吉や日根野作三らによるクラフト運動へと継承される道筋を示す。

ロバート・ラウシェンバーグ「Untitled」(1985年)

 続く「出会いと発見の中に-新たな創作への揺さぶり」は、古窯の素材や技術から作陶の幅を広げた作家たちに光を当てる。北大路魯山人は信楽の陶土に触発されて独自の織部や志野を大成。現代陶芸のパイオニアとして活躍した八木一夫と鈴木治は、陶の原点を再発見し、薪窯での制作を自らの新境地を切り開く原動力とした。

 「産業とアート-作家を喚起する技術」は、湖国のセラミックの技に刺激を受けたアーティストの多彩な創作活動への展開を見る。「太陽の塔」背面の「黒い太陽」などの大作を信楽の地で生んだ岡本太郎を筆頭に、横尾忠則やロバート・ラウシェンバーグらが手掛けたセラミックアートは、現代美術の新たな方向性を示す事例として国内外で大きな反響を呼んだ。それらの成果の一端を紹介する。


岡本太郎「坐ることを拒否する椅子」(1963年)
「信楽の静かに空けた空間には、古代からの香り高い響きが生きている」
鈴木治「秋日」(1988年)
「今の私の仕事に大きな揺さぶりを掛けて、更に次の仕事へのはずみをつけてくれまいか」
熊倉順吉「くろい女」(1974年)
「戦後、日本人の生活様式は激変した。新しい信楽は、激しくうごめいている」
北大路魯山人 書「樂水樂山」(1930~39年)
八木一夫「信楽土管」(1966年)
「截然とした風景が、妙に超現実的な、なまなましい欲望の暗示として、ぼくの眼を釘付ける」
荒川豊藏「信楽茶碗」(1978年ごろ)
案内
■会  期10月6日(土)~12月20日(木)。月曜休み(10月8日は開館、同9日休館)
■開館時間午前9時半~午後5時
■会  場滋賀県立陶芸の森 陶芸館(甲賀市信楽町勅旨2188-7)  0748(83)0909
■入 館 料一般700円、高大生500円、中学生以下無料。
■主  催滋賀県立陶芸の森、京都新聞
□関連行事ギャラリートーク 10月28日、11月11日午後1時半~2時半
▽親子向け特別講座 10月13日 手びねりでランプシェード作り、同21日 カラービーズで色模様の皿づくり(いずれも参加費が必要)
【2018年10月3日付京都新聞朝刊掲載】