京都新聞
紙面特集

酒飯論絵巻
茶道資料館

ようこそ中世日本の宴の席へ

 酒好きと飯好き、酒も飯もほどほどがよいとする3人が言い争う様子を描いた絵巻物をテーマにした秋季特別展「酒飯論絵巻―ようこそ中世日本の宴(うたげ)の席へ―」が6日、京都市上京区の茶道資料館で開幕する。楽しそうに飲食する姿や調理場面が細部にわたって生き生きと描かれ、食にまつわる往時の風俗をかいま見ることができる。

 酒飯論絵巻は、酒が好きな「造酒正糟屋朝臣長持(みきのかみかすやのあそんながもち)」と飯と茶を好む「飯室律師好飯(いいむろりっしこうはん)」、酒も飯もほどほどを良しとする「中左衛門大夫中原仲成(ちゅうざえもんのたいふなかはらのなかなり)」の3人が、言葉をつくして酒と飯について論じ合う物語に、それぞれがごちそうをふるまう絵がつけられている。室町時代に成立し、その後、多くの写本が作られた。現在、国内外に着色本が十数点確認されているほか、白描本も伝わり、中世の風習や食文化を知る貴重な絵画資料として注目されている。

 同展では、国内に所蔵されている酒飯論絵巻のうち8点を一堂に展示。最も古いとされる文化庁本と三時知恩寺本、群馬県立歴史博物館本、茶道資料館本を中心に、3人が登場する第一段から、それぞれが持論を展開する計4場面に分けて紹介する。

酒好きな長持の酒宴 「酒飯論絵巻第二段」(部分)=文化庁蔵
飯も茶も好む好飯は山盛りの飯でもてなす 「酒飯論絵巻 第三段」(部分)=文化庁蔵

 このうち、酒好きは菊酒や桃花酒など季節ごとに酒が欠かせないことを論じ、歌舞音曲に興じる酒宴の様子や酔っぱらいの姿が描かれている。飯好きは、悪酔いする姿を批判し、季節ごとの飯や餅の楽しみを説くが、山盛りの飯でもてなす絵は風刺的にも捉えられる。4点の絵巻をつき合わせると、同じ部分でも微妙な違いが分かり、写本が作られる過程での変化も見どころとなっている。

 この絵巻が生まれた中世は、喫茶が流行のきざしを見せる時代。茶臼をひいたり、湯を沸かして茶を準備する人物なども描かれているほか、供宴のしつらえから現在の茶事との関わりを探ることもできそうだ。

ほどほどを良しとする仲成は適度な量の酒と飯を出す 「酒飯論絵巻第四段」(部分)=文化庁蔵
獅子蓋燗鍋
蓬莱文提子(ひさげ)=曼殊院蔵
蓬莱文長柄銚子(ながえちょうし)=曼殊院蔵
群馬県立歴史博物館本
三時知恩寺本
茶道資料館本
文化庁本
案内
■会   期10月6日(土)~12月4日(火) 月曜休館(10月8日、11月19日は開館)、10月9日休館 期間中に展示替え、巻き替えあり
■開館時間午前9時半~午後4時半(入館は午後4時まで)
■会   場茶道資料館(京都市上京区堀川通寺之内上ル、裏千家センター内)
■主   催茶道資料館、京都新聞
■入 館 料 一般1000円、大学生600円、中高生350円 小学生以下、茶道資料館メンバーシップ校生は無料。20人以上の団体割引あり。いずれも呈茶付き
■問い合わせ茶道資料館075(431)6474
【2018年10月5日付京都新聞朝刊掲載】