京都新聞
紙面特集

徳岡神泉 深遠なる精神世界
京都府立堂本印象美術館


「蕪」 1958年 京都国立近代美術館蔵

隣り合う宇宙

 心の奥深く響くような独自の絵画世界を追究した京の日本画家、徳岡神泉(1896~1972年)。「徳岡神泉-深遠なる精神世界」展が13日、京都市北区の府立堂本印象美術館で開幕する。ささやかなものの中に宇宙を見つめた画家の足跡をたどる。

 神泉は中京区の裕福な家庭に生まれた。雅号は近くの神泉苑にちなむ。そこで写生していた神泉の絵に通りがかりの土田麦僊が驚き、竹内栖鳳に紹介したというエピソードが伝わる。栖鳳の画塾・竹杖会、市立絵画専門学校で学んだが、文展には落ち続けた。苦悩の中、放浪したり、参禅したり、自分や対象の内面、本質を見通す目を養った。

 仏教的、精神的世界への深まりの中、簡潔な形へモチーフを洗練させていき、39年の新文展で「菖蒲(しょうぶ)」が政府買い上げとなる評価を得た。戦後はさらに、写実と装飾と精神性を融合する50年の「鯉(こい)」、60年代の「刈田」や「筍(たけのこ)」へとつながっていく。生涯、身近な自然をモチーフとして描き続け、66年には文化勲章を受章した。

「菖蒲」 1939年 東京国立近代美術館蔵

 58年の作「蕪(かぶ)」は、超然と浮かぶような野菜の存在が美しい。一見何も描かれていないような背景でも、丁寧に重ねた地塗りは複雑で幽遠な色彩を醸す。

 戦後を中心に素描も含めた計45点を通じて、対象と静かに語り合い、溶け合って一体化していった画家の魂に触れられる。


「富士」 1965年ごろ 京都国立近代美術館蔵
「筍」 1963年 京都市美術館蔵
「薄」 1966年 東京国立近代美術館蔵
「鯉」 1950年
東京国立近代美術館蔵
「刈田」 1960年
東京国立近代美術館蔵
案内
■会  期10月13日(土)~11月25日(日) 月曜休館
■開館時間午前9時半~午後5時(入館は閉館30分前まで)
■会  場京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
■主催府、府立堂本印象美術館、京都新聞
■入 館 料一般500円(400円) 大学・高校生400円(320円) 中・小学生200円(160円)※かっこ内は20人以上の団体 65歳以上(要証明)と障害者手帳持参の人(介護者1人含む)は無料
■イベント11月3日午後2時=講演会「徳岡神泉が求めたもの」山田由希代氏(同館主任学芸員) 会場は美術館東隣の旧堂本印象邸 定員40人(当日午後1時から整理券配布) 要入館券
■ギャラリートーク10月20日、11月17日 いずれも午後2時、同館2階展示室に集合 要入館券
■問い合わせ堂本印象美術館075(463)0007
【2018年10月12日付京都新聞朝刊掲載】