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「腎臓疾患の新たな観察方法」
見逃していた悪化症例次々発見
市立大津市民病院 腎臓内科部門 診療部長
中澤 純 氏

市立大津市民病院 腎臓内科部門 診療部長 中澤 純 氏

 腎臓疾患について。

 透析予備軍である慢性腎臓病の患者数は日本で約1300万人と推計され、年間約4万人が透析に移行しています。食事・運動・薬物療法などで腎機能の低下を抑えることができますが、一度悪くなると元に戻すことは困難です。

 腎機能観察の問題点について。

 国を挙げて透析患者数を減少させる取り組みが始まっていますが、十分な効果は上がっていません。大きな原因として、5〜10年といった長期間医療機関に通院していながら腎機能の観察方法に問題があるために、腎機能が悪化し続けていることに気付かれない症例が非常に多いことが挙げられます。研究の中で、腎機能の指標であるeGFR(推算糸球体ろ過量)は普段からかなり変動しており、1〜2年の観察では悪化に気付くことが困難だと判明しました。例えば2年という短い期間で推移を見ると安定しているように見えても、10年という長い期間で見るとかなり悪化している場合があります。近年普及した電子カルテにおける検査結果の時系列表示期間が最大1〜2年間ということも問題です。

 新しい観察法とは。

 数十年単位のeGFRを一目で観察できる「Long term(ロングターム) eGFR plot(プロット)」を開発しました。これにより、今まで見逃されていた腎機能悪化症例を次々に発見できるようになりました。早期の治療介入が可能となり、腎予後の改善が期待されるとともに透析へ移行する時期をより先延ばしにすることができます。これがレントゲンや心電図のように当たり前の診療ツールとなってはじめて、透析患者数の減少につながると考えており、まずは滋賀県内から導入を目指しています。

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