玄房和尚のヘルシー精進

玄房和尚 ヘルシー 精進

◎本物の味を家庭料理の一つに

 季節季節の旬の素材を使い、葉っぱの先、皮一つ無駄に捨ててしまうことなく、育て栽培してくださる方への感謝を込め、また、食べてくださる人への思いを込めて料理してきました。調味料も手間ひまかけるようですが、やってみると化学調味料よりも簡単にできます。本ものの味を、家庭の食卓を通じて若い人に覚えてもらえるようにとの願いもこめました。それぞれの家庭料理の定番のひとつに加えていただければ、と思っています。(妙心寺・東林院住職西川玄房)

前:ダイコンのおかゆ
右後:ハクサイのうずだき
左後:揚げだしダイコン


◎シャリっと水菜 冬欠かせぬ菜っぱ

 京の伝統野菜の一つ、水菜。その昔、主産地が京都市中京区の壬生あたりであったことから「壬生菜」とも呼んでいる。細長い葉先が丸形で、煮ても、漬物にしてもおいしく、冬場には欠かせない菜っぱ。現在も壬生に近い、右京区界わいで栽培しているところも残っているようだが、南区の鳥羽や日吉町、草津市などが中心になっている。
 ギザギザと葉に切れ込みのあるのも同じ水菜というが、こちらは「大阪水菜」などと呼んだもの。鯨肉のコロや豆腐の揚げなどと煮るハリハリなべには大阪水菜を使ったようだ。

前:水菜の雑炊
右後:サトイモとシメジのみそ煮
左奥:ゴボウのかき揚げ


◎お正月も終わり 忘れられた材料使い

 いずれも旧暦だが、十五日は「小正月」、二十日を「二十日正月」と呼んでいる。いよいよこれで暦の上でも正月は、終わり。現在は十一日を「鏡開き」といってお祝いするが、昔は二十日の日に、正月に供えた鏡もちをいただいたり、正月に用いたブリの骨を酒粕の中に入れておき、この日にゴボウやダイコンと煮て食べる風習もあった。「骨正月」がそれ。
 二十日ともなれば、ほとんどの家庭では、お正月の名残などすっかり無くなっているのだろうけれど、硬くなったもちや串刺しの干しがきなどが忘れられたままになっていたら、うまく使って祝い納めを。優雅な気分になりそうだ。

前:焼きもちの納豆あえ
右後:昆布とろうどん
左:干しがきのてんぷら


◎お粥はいかが 疲れた胃をいやす一品

 もう、仕事始め。掃除だ、おせちだと大騒動した迎春も、あっという間に過ぎ、今日あたりになるとなにやら疲れが出始める。もう一度気を引き締めて今年も一年、がんばりましょう。西川玄房和尚の自坊、妙心寺・東林院は八日から「小豆粥(がゆ)の会」が催されるが、その席に出る小豆粥を紹介する。七日は「七草粥」をいただくが、昔からお正月にはついつい食べ過ぎ、飲み過ぎの方が多かったのか、お粥はいやしにはもってこいの一品です。

左:小豆粥
右:じゃばら昆布
奥:ダイコンと揚げの含め煮


◎おせちの主役、エビイモなど使い

 冬至。毎年このころになると迎春準備に追われる。おせち料理に欠かせない芋類やゴボウ、ニンジンなど日持ちする根菜類は、押し詰まってから求めるより早い目のほうが形の良いものが選べる。新聞紙などに包んで、冷暗所で保存すること。エビイモはサトイモの一種。形が大きく、腰のところがエビのように曲がっているのでエビイモと呼ぶ。腰が曲がっても元気なエビを縁起よしとした。ゴボウは滋養に富み、金時ニンジンは燃えるような紅色を尊んだのだろう。どれもおせち料理に欠かせない、主役たちだ。

前:エビイモの焼きでんがく
右:たたきゴボウ
左後:金時ニンジンとゴボウの花揚げ


◎わが家流おせち レンコンなど縁起物で

 12月を師走というのは、諸説あるようだ。よくいわれているのは一年の終わりで皆忙しく、師匠といえども趨走(すうそう=ちょこちょこ走るの意)する、というので「師趨」となりこれから師走になったとの説。また別に、師走の師は法師の意味だとして、12月は僧を迎えて檀家たちが、経を読ませる風習があったので、師が馳せ走る「師馳月」。さらに「歳はつる月」が訛ったからとか。いずれにしても気ぜわしい年の瀬だが、迎春準備も計画的に進めてほしい。今回の昆布は「よろこぶ」の語呂をから。クワイは芽の出る姿を縁起良しとしたもの。

前…昆布巻き
右後…クワイの天ぷら
左…カブラの花づくり