The Kyoto Shimbun

府南部4市町合併協議へ 住民に長所・短所示せ南部支社・日下田 貴政

 「平成の大合併」とはこれまで無縁だった京都府南部で、宇治市と城陽市、宇治田原町、井手町の4市町が合併協議に向けて動き始めた。近隣7市町や5市町で枠組みを模索してきた結果だ。城陽市長選が終わる9月以降に具体化しそうだが、合併した場合の長所と短所を、住民に示すことが必要だ。

  44から28へ。昨年3月と来年3月の府内自治体数を比較すれば、地図は大幅に塗り変わるだろう。だが、市町村合併が進むのは京都市以北の地域ばかり。府南部で法定協議会を設置しているのは木津、加茂、山城の3町だけで、2007年3月までの合併を目指す。

6月に状況急展開
 宇治市、城陽市、宇治田原町、井手町の4市町に八幡市と京田辺市、久御山町を加えた7市町は、合併の枠組みを探り続けてきた。02年10月に設置した任意協議会は、翌03年1月に解散。今年2月、久保田勇・宇治市長の呼びかけで約2年ぶりに首長が集まったが、各市町の温度差が浮き彫りとなる。「木津川右岸5市町で仕切り直す」という久保田市長の思いはかなわず、3月に再び白紙に戻っていた。

 それが6月に入って状況が変わった。宇治田原町の奥田光治町長が「合併は宇治市、城陽市、宇治田原町、井手町で先行させたい」と提案。慎重派とされていた城陽市の橋本昭男市長が、9月の市長選を見据え、「城陽は地理的に府南部の中心地。合併協議に参加していく」と前向き姿勢に転じた。

 今月13日、市長選に再選を目指して立候補を表明した橋本市長は「近隣市町と協議を進めたい」と述べた。

 4市町での協議が始まれば、2つの市が参加する府内初の例になる。宇治市は人口規模と知名度で突出するが、地理的には北端に位置する。南隣の城陽市も8万2000人を擁し、単独市での生き残りを望む住民もいる。

 合併の狙いに、国の財政難や少子高齢化による税収の落ち込みを見越した行財政基盤の強化があるのは言うまでもない。全国ブランド「宇治茶」の産地一体化のメリットも唱えられる。宇治市の生産量はわずかで、宇治田原町など他市町に茶畑が多く広がっているからだ。

 一部には、城陽市の懸案となっている山砂利採取跡地問題の解決と結びつける向きもある。宇治市の市街地にある自衛隊駐屯地を採取跡地に移転させ、駐屯地跡を再開発するとのもくろみだ。だが、実現見通しの根拠は示されていない。

具体性欠く将来像
 「中核市」を目指す構想もある。中核市は人口30万人以上が条件で、保健所設置が可能になり、都市計画に関する権限が持てる。だが、現時点では4市町合わせても約29万2000人だ。いずれにしろ、合併後の将来像は見えていない。

 6月中旬。城陽市で市町村合併をテーマにした勉強会が開かれた。「合併について市民はほとんど知らない」「市民主導型でないと、いいまちづくりはできない」。市担当者の説明に対し、参加した青年会議所のメンバーはそれぞれの思いを口にした。

 これまでの合併論議は、首長や議員間の駆け引きの範囲だった。本当に行財政改革につながるのか。大きな自治体に住民の意向は反映されるのか。合併の是非について、まずは城陽市長選での論戦を期待したい。

[京都新聞 2005年7月15日掲載]

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