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八幡市教委の不登校未然防止 成否握る保護者の理解

京田辺支局・生田和史
2週間分の睡眠時間などの情報を書き込む記録用紙。生活リズムの乱れが確認できる

 「不登校ゼロ」を掲げ、八幡市教委は本年度から、生活習慣の改善を通じて不登校を未然に防ぐ取り組みをスタートさせた。5月に一部小中学で先行調査したところ、睡眠不足など生活リズムに異常が見られた児童生徒が4人に1人にのぼった。これら児童生徒に改善指導を予定しているが、個別の家庭事情に踏み込まざるを得ないケースも想定され、取り組みの成否には、保護者の理解が不可欠としている。

 新たな不登校防止策では、年2回、生活に乱れが出やすい夏休みなどの大型連休後に2週間、児童生徒の睡眠時間などを記録する。睡眠傾向から、担任や養護教諭が「早く寝る」「ゲームやインターネットを控えるように」などと指導し、場合によってはカウンセラーや医師の治療に生かすという。

生活改善で効果

 市教委は、兵庫県立リハビリテーション中央病院の三池輝久センター長と協力して取り組む。三池センター長は、不登校の多くは脳機能の疲労で自律神経や生体リズムなどに変調をきたした結果、学校に行きたくても行けない「小児慢性疲労症候群」とみている。同症候群は、遅い就寝など生活リズムの乱れが固定化することから発展するとしている。

 福井県若狭町は、この取り組みをいち早く導入し、2006年から小中学計3校で始めた。生活リズムが改善した子どもたちは、授業に集中できるようになったり、遅刻が少なくなる効果があった。また、保健室登校していた中学生4人が、教室復帰できるようになったという。

 こうした先例などに触発されて、八幡市教委は今年5月、本格導入に先立ち、市内の小中学4校、約1300人を対象に試行したところ、約25%に睡眠異常が見つかった。睡眠の特徴から7つのパターンに分類すると、半分近くは軽度の異常だったが、中には▽就寝時間は午前3時▽眠りが浅い▽土日は遅く起床する−など、睡眠時間の不足や良質な睡眠を取っていない児童生徒がいた。

 市教委は今後、全小中学13校で毎年2回、この取り組みを実施していく方針で、「生活習慣を振り返ることで子どもの自覚を促し、保護者にはねばり強く理解を求めたい」という。

求められる柔軟性

 ただ、親の職業など家庭の事情で深夜にならないと子どもが就寝できないケースもあり、家庭によっては学校の指導を簡単には受け入れにくい状況が考えられる。保護者に取り組みの意義がどの程度浸透するかは不透明という。

 三池センター長は、夜型生活が定着する時代の中で、こうした個別の家庭事情を考慮した上で「小中学でも、午後1時から始業するフレックス制学級の導入など柔軟な対策策を検討すべきではないか」と提言している。

[京都新聞 2008年9月30日掲載]

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