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大文字駅伝を前に けが予防 大人の役割

運動部・堤冬樹
鬼ごっこをして、元気に走り回る桂坂小の児童たち。バランスを重視した練習に取り組んでいる(京都市西京区)

 駅伝シーズンがたけなわを迎えている。都大路では年末の全国高校駅伝、16日の全国女子駅伝に続き、来月6日には大文字駅伝が控える。京都市内の小学校が競う大文字駅伝は毎年盛り上がりを見せる半面、過熱化やけがの多さを懸念する声も聞かれる。子どもたちが陸上競技に長く親しむためにも、関係者には適切な知識の共有や長期的な視野に立った指導が欠かせない。

 大文字駅伝は今年で25回を数える。予選を勝ち抜いた学校など計50チームが参加し、小学6年生が10区間16・495キロをたすきでつなぐ。保護者らの関心も高く、レースを放送するKBS京都によると、前回の視聴率は平均14・9%を記録した。全国高校野球選手権京都大会の決勝と並び「抜群に高い数字」という。

 大会は体力の向上と学校教育の充実を図ることを目的とし、「学年や学校全体、地域ぐるみで取り組む学校も増えている」(京都市教委)。一方で結果を追い求めるあまり、無理をしてしまう児童も少なくない。そうした状況を受け、2006年度から整形外科の事前健診を実施している。今大会前には登録選手約700人のうち、足やひざなどに痛みを訴えた232人が受診した。

 また、今回から理学療法士も参加し、ストレッチの仕方などを助言している。理学療法士の一人は「体が硬かったり姿勢が悪かったりする児童が目立った。けがが深刻化するまで我慢する傾向もある」と指摘する。健診に携わった、たちいり整形外科(西京区)の立入克敏院長は「将来は選手全員を診たいが、人手が足りない。今後、医師向けの講習会を開くなどして関心を高めていきたい」と話す。

 日常的に子どもたちに接する指導者の役割が重要なことは言うまでもない。日本陸連は小学生の長距離・持久走の指針として▽トレーニングは週2、3日で1日1・5時間ほど▽1日の総走行距離は5キロを超えてはならない−などと規定。市教委も毎夏、全校対象の指導者講習会を開くが、「練習は各校に任せているのが現状。指導者によって意識の差は大きく、勝つために周りが見えなくなる人もいる」(市教委)。海原洋・前大会実行委員長も「心身ともに未発達の児童が無理をすれば『燃え尽き症候群』にもつながる。ブレーキをかけるのが指導者の役割」と訴える。

 今回で4年連続出場となる桂坂小(西京区)は季節に応じて短距離や走り高跳び、ソフトボール投げなど幅広い種目に取り組む。距離を伸ばすのは秋口からだ。

 今月中旬の放課後、学校近くの公園で児童約40人が汗を流した。体力や調子に合わせて自ら時間を設定し、脚への負担が軽い芝の上を走る。鬼ごっこなど遊びの要素も多く、笑いが絶えない。指導する教員の元氏宏輔さんは言う。「何事もバランスが大事。前向きに取り組む姿勢が身に付けば結果は気にしない。大会が大きくなればなるほど、大人の責任も増してくる」

 目標に向かって努力する姿を後押ししたい。そんな思いは、指導者にも保護者らにも共通のはずだ。だからこそ、子どもを守る冷静なまなざしも忘れてはならない。

[京都新聞 2011年1月26日掲載]

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