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厳しい高校生の就職 卒業後のフォロー必要

文化報道部・森山敦子
京都労働局などが開いた企業説明会には就職希望の高校生が詰めかけた(昨年11月17日、京都市南区)

 大学新卒者の就職内定率が過去最低に落ち込み、「新氷河期」とも言われる今季の就職戦線だが、高校生の就職希望者にとっても厳しい状況が続いている。京都府では内定率をみると前年同期を上回ってはいるが、依然として400人近い生徒の進路が未定だ。高校生の就職活動は教師に頼る部分が大きいが、厳しい経済状況のなか、各学校の進路担当教諭の努力だけでは限界がある。学校だけでなく行政や企業を含む社会全体で、就職を望む若者を支援する仕組みが作れないものか。

 京都労働局のまとめでは、昨年11月末現在の就職内定率は73・8%。近年にない落ち込みだった前年同期の69・0%に比べると持ち直しているが、求人倍率は南部の2・15に対して北部は0・57。「現時点でまだ内定を得ていない北部の生徒にとっては、かなり厳しい」という。

 各高校の進路担当教諭からは、就職戦線の“異変”を嘆く声も聞こえてくる。高校生の就職活動は、多くの場合は指定校求人で、企業から届いた求人票を基に高校が推薦し、9月16日の解禁日から採用試験が始まる。

 京都市内の高校の教諭は「求人数じたいは減っていないが、指定ではなく公開求人が大幅に増え、競合が激しい。アパレルなど人気企業もあるが、倍率が10倍を超え、生徒に勧めるのをためらう」と打ち明ける。1人が一度に受験できるのは1社で、2社目に挑戦できるのは10月16日以降。1回で決まらないと、後になるほど選択肢も少なく、厳しくなるからだ。別の教諭は「指定求人で学校が推薦した生徒を必ず採用するとは限らなくなってきた。おとなしいがまじめでコツコツ頑張る子が不採用になるケースが多く、指導が難しい」と漏らす。

 就職問題に取り組んでいる府立高校教職員組合の原田久執行委員長は「かつてはアルバイト的なものは学校ではあっせんしないとしてきたが、今は臨時や契約社員の求人も多く、無視できない」と語る。今年、既に内定が出た中にも「非正規で3年間働いたら正社員に」といったケースがあるという。また、無事就職した場合でも、長時間労働を強いられるなどして離職する例もあり、「高校生は安い労働力としてしか見られていない」とこぼす教諭もいる。

 昨年3月末の最終内定率は96・8%。「ほぼ全員が就職できた」ように見えるが、実は途中で就職をあきらめ、アルバイトなどに就いた生徒は省かれている。北部のある高校では数十人の就職希望者のうち約15人は正規の就職が決まらず、アルバイトになった。担当教諭は「一度フリーターになってしまうと正社員として就職しにくく、非正規雇用を渡り歩く不安定な状態になる」と懸念するが、こうした生徒たちを卒業後も追跡調査したり、フォローする仕組みがないのが現状だ。

 府は昨年度に続き、就職の決まらなかった高卒者を一時的に雇用して職業訓練などを行うなど、卒業後の支援に徐々に乗り出している。一方、京都市教委が昨秋に1、2年生対象の企業説明会を試行実施するなど、生徒に早い時期から職業意識を持たせる工夫も進んでいる。同時に、企業側にも高校生を安価な労働力としてではなく、仕事を通して育てる視点を求めたい。

[京都新聞 2011年2月16日掲載]

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