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経営危機の京都市営地下鉄 民間目線でコスト削減を

社会報道部・竹下大輔
乗客数が順調に伸びている京都市営地下鉄。一時の危機的状態からは立ち直りつつあるが、一層の経営改善が求められている(京都市中京区・烏丸線烏丸御池駅)

 京都市営地下鉄が、経営再建のための健全化計画を策定して1年がたつ。全国の公営企業で最も経営状態の悪いと指摘される中、職員が一丸となって増客策に取り組み、徐々に改善が進みつつある。しかし、計画では1千億円の「税金」を一般会計から投入する。市民から理解を得ていくには、さらなる経費削減とサービス向上が求められる。

 市営地下鉄は、2008年度決算で営業収益に占める不良債務の割合「資金不足比率」が基準の20%を超え、自治体財政健全化法に基づき、国から経営再建が義務付けられる経営健全化団体に指定された。昨年3月に沿線開発などで1日乗客を5万人増やし、10年間で再建を図る計画を策定した。

 この1年をみると、増収策はうまくいっているようだ。10月に四条駅の商業施設「コトチカ四条」を開業し、誘致した人気ドーナツ店には連日長蛇の列ができた。職員自ら営業に歩き、地下鉄利用者にホテルのランチが割り引かれるサービスも始まるなど企業との連携も進んだ。かつて「士族の商法」と酷評された経営意識は確実に変わっている。

 昨年4〜12月の1日平均乗客数は前年度比4400人増の33万5700人。千人増が目標だった本年度の計画値より3400人も多かった。この結果、11年度予算案でも大幅な経営改善を見込み、1日当たりの赤字額は08年度に比べ1400万円減の2500万円まで圧縮できると見込む。庁内に「10年を待たずに再生できる」という楽観論も聞こえてくる。

 しかし、この赤字縮小は不況による低金利で利息が15億円減少したことも大きな要因といえる。高金利になれば再び経営悪化に陥る恐れもある。自助努力による経費削減が不可欠だが、肝心の人件費カットは2億円減にとどまる。10年間で職員数の1割削減を掲げるが、効果は32億円だ。

 これに対し、再建計画に盛り込んだ一般会計からの繰り入れは1千億円で、市民1人当たり7万円に上る税金を赤字穴埋めに使う。民間で経営破たんした日本航空は3500億円の公的資金を受け取る代償に5年間で4割近い職員を削減し、現役職員の給与削減に加えて退職者の年金削減にまで踏み込んだ。

 地下鉄職員の平均年収は690万円。同じく経営難の府北部の北近畿タンゴ鉄道職員の平均年収は450万円。単純比較はできないが、同じ給与表を使う京都市バスと民間バスの運転士給与を比較すると年収ベースで170万円高いという調査もある。

 交通局は2000年に地下鉄と市バス運転士の給与水準を6〜18%切り下げる給与表を導入し、他都市より安いが、1999年度以前に入庁した職員にはまだ割高な給与表を適用している。職員課は「職員は入庁時の給料を想定して生活設計をしている」と説明するが、果たして、理解が得られるだろうか。市議会から「倒産企業の職員が民間より割高な給料をもらっていいのか」との声も出ている。

 交通局では全職員の給与カットを実施しているが、11年度で廃止する計画で、13年度には今でさえ全国最高額の運賃をさらに5%値上げを予定している。値上げ前に民間目線に立った改革が必要である。

[京都新聞 2011年2月23日掲載]

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