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府高野連の医科学サポート けが予防、球児の力に

運動部 河北健太郎
京都府高野連が取り組む医科学サポートで、肘のエコー検査を受ける高校球児たち(11月25日、京都市右京区・わかさスタジアム京都)

 京都府高野連と医師や理学療法士、トレーナーが協力し、高校球児の肩や肘の状態を診る「医科学サポート」が5年目を迎えた。恒例の冬季トレーニング講習会に合わせて選手約300人のけがの有無はもちろん、体の柔らかさや投球動作の肩、肘への負担を調べ、より高いプレーにつなげる「全国でもめずらしい取り組み」(日本高野連)だ。

 11月25日、京都市のわかさスタジアム京都。投球動作をする選手の首や股関節などの可動域を、医師や理学療法士、トレーナー約60人がチェックする。中心メンバーで京都府立医科大の森原徹講師(スポーツ整形)は「肘や肩のけがは、体の硬さや投球フォームを診ないと分からない」と教えてくれた。痛みがある選手はエコーで肘の状態を確認した後、医師が診察。健診が必要な場合は病院を紹介する。痛みがなくても体が硬い選手には、故障を予防するためにストレッチを指導する。

 サポートは2008年、一部の公式戦後の診察をきっかけに始めた。今年はトレーニング講習を受けた各校の4人と、健診を希望した計310人が参加。府高野連の井上明理事長は「けがの予防が浸透し、京都の底上げにつながりつつある」と手応えを語る。

 昨年は病院で治療した29人中28人が夏の大会までに復帰した。2010年春の甲子園でマウンドを踏んだ立命館宇治高の川部開大投手(立命館大1年)もその一人。肘の痛みは1年時の秋からあり「痛いまま無理をしてもいいプレーができない。苦しかった」。2年時の秋、手術に踏み切った。翌年の5月下旬には投球できるようになり、最後の夏の京都大会で4試合に登板。決勝進出に貢献した。「痛みはまったくない。野球を続けられているのはサポートのおかげ」と感謝する。

 理学療法士や医師も、現場で監督や選手と接することで意識が変わった。活動期間が短い高校では練習から数カ月離れると大きな影響が出てしまう。府立医科大理学療法士の松井知之さんは「スポーツの現場はお年寄りのリハビリとは求められるスピードが違った。復帰時期を明確にして、監督と選手に信頼してもらうのが大事だと痛感した」。

 一方、森原講師は「本来は全員を診なければならないが、私たちが現場に行くのには限界がある」と課題を挙げる。そこで2年前から、選手自らが痛みを確認できるチェック方法を検診時に盛り込んだ。肘を伸ばした状態で腕を揺らしたり、利き手でバットを持って背中の後ろに垂らしたりする。それで痛みがあればけがの可能性がある。病院に来てもらう。森原講師は「体の状態を自分でチェックし、けがを早く見つけて治せば、長く野球を続けられる」と力を込める。今年も昨年と同じ人数が府立医科大で受診する見込みだ。できるだけ早く元気なプレーを見せてほしい。

[京都新聞 2012年12月12日掲載]

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