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レイクス新リーグ参入 地元プロチームは「公共財」

滋賀本社 国貞仁志
5月に行われたbjリーグのプレーオフ。滋賀レイクスターズは昨季過去最高の3位と躍進した(大津市・滋賀県立体育館)
5月に行われたbjリーグのプレーオフ。滋賀レイクスターズは昨季過去最高の3位と躍進した(大津市・滋賀県立体育館)

 来秋開幕する男子プロバスケットボールの「Bリーグ」でTKbjリーグの滋賀レイクスターズが初年度から1部参入する。最大の懸案だった5千人規模の本拠アリーナ確保をめぐり、レイクスが滋賀県などと協議する過程を取材してきたが、行政サイドの冷めた対応に違和感を覚えた。地域密着のプロスポーツが持つ「公共財」としての価値をいま一度、理解すべきだ。

 Bリーグは1〜3部の階層性。全チームプロのTKbjと企業チームが混じるナショナルリーグを統合する。今春示された参入条件の本拠は1部が収容5千人をめどとし、年間ホーム試合の8割を開催できるアリーナの確保が求められた。しかし、県内には当初5千人規模がなく、レイクスは3年後に3千人規模で建て替える計画がある草津市民体育館の増席を要望。増席分の整備費10数億円について市は県に全面支援を要請した。

 三日月大造知事は「前向きに市と協議する」と公言し、県庁内に支援検討チームを設けたが、7月に「多額の財政支援が県民の支持を得ていると考えられない」(三日月知事)と支援を見送った。レイクスの坂井信介代表は「当初から県の担当者にやる気が感じられなかった。県はスポーツ振興や地域創生をどう考えているのか」と批判した。

 レイクスは8月下旬、3千人収容の県立体育館(大津市)に約千席の立ち見などを加え5千人規模とする案をひねり出し、滑り込みで1部参入を決めた。ただ今後は立ち見の制限など要件が厳しくなる見込みで、成績に関係なく2部降格もあり得る。9年後の滋賀国体に向け再整備を検討する県立体育館の着工前倒しや、多目的アリーナの新設を自治体に働きかけているが、現状では難しい情勢という。

 取材を通して痛感するのは行政の柔軟性のなさだ。県は国体開催のタイミングで県立体育館の再整備を進める思惑があり、それが草津市への財政支援や早期着工をためらわせている感が否めない。県庁内はプロスポーツ、国体、施設整備と縦割りで各部課の施策が複雑に絡み合っている。国がスポーツ庁を発足させたように、県も一元化を図る仕組みをつくれないか。

 バスケットボールは国内で3番目に競技者が多く発展性は高い。プロスポーツが地域貢献や街のブランドを高める効果があるのはJリーグで示されている。レイクスはスポーツ振興の基金を設け、県ゆかりのトップ選手や団体の支援もしている。今回「一クラブに税金を投じるのか」という声があったが、スポーツ文化を根付かせようとする民の力をもっと評価するべきだ。

 滋賀は湖北から湖南まで文化や気候が違う。琵琶湖以外に日常的に県民の心を一つにし、全国に魅力を発信できる可能性をプロのスポーツクラブは持っている。大局に立った県の施策を期待したい。

[京都新聞 2015年10月7日掲載]

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