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多賀大社前商店街活性化 歩きたい門前町作れるか

滋賀北部総局 伊藤恵
新たに石畳風のコンクリートブロックが敷かれた多賀大社前の絵馬通り(滋賀県多賀町多賀)
新たに石畳風のコンクリートブロックが敷かれた多賀大社前の絵馬通り(滋賀県多賀町多賀)

 延命長寿や縁結びの「お多賀さん」として親しまれる多賀大社(滋賀県多賀町多賀)。年間約164万人(同大社調べ)が訪れる一方で、最寄りの近江鉄道多賀大社前駅と同大社を結ぶ約700メートルの門前町商店街「絵馬通り」ではにぎわい低下に地元が頭を悩ませる。主要な駐車場が同大社を挟んで商店街と反対側にあり、車で参拝する人の多くが絵馬通りを歩かずに帰ってしまうからだ。現状を打開しようと、商店主らや行政が知恵を絞っている。

 同大社の大鳥居の前には名物「糸切り餅」を売る土産物店や飲食店が7店舗ほど集中している。10月中旬の土曜日に訪れると、女性グループや赤ちゃんを抱いたお宮参りの家族連れが立ち寄っていた。しかし買い物が済むと計約450台を収容する同大社南東側か北西側の駐車場に直行し、西側の商店街に向かう人はまばらだ。鳥居より20メートルほど西側で手作り雑貨店を営む堤和子さん(64)は「40年くらい前はお土産屋さんやパン屋さんなどがいっぱいあり人通りも多かった。今はまるで見えないカーテンがあるみたいにお客さんが引き返していく」と苦笑する。

 近隣商店の協同組合「多賀門前町共栄会」には62業者が加盟し、うち7割が絵馬通り沿いにある。同会の土阪義久理事長は「以前は地元の人向けの日用品店や食料品店が多くあった。電車利用の参拝者が減ったことに加え、彦根市内などに大型スーパーや家電量販店ができて地元の客も減った」と話す。

 通りを歩く人を呼び戻そうと、各団体は工夫を凝らす。同会では毎月第3土曜日の「笑門バザール」や毎月1日の「おついたち市」で道沿いに屋台を並べて買い物客を迎える。多賀観光協会は町の委託で各店の割引券や同大社と同駅の間にある真如寺の地獄絵図拝観券などをセットにした500円のサービス券「開運!近江の地獄めぐり」を3年前に発売。昨年は約1580人が利用した。

 町も絵馬通りを含む町内の商店の魅力向上や新規開業への補助を行ってきた。15年度からは活性化の起爆剤として絵馬通り一帯に石畳風のコンクリートブロックや自然石を敷く整備工事に乗り出した。一部はすでに工事が終わって無機質なアスファルトだった道路がより観光地らしい見た目になった。土阪理事長は「道がきれいになるのはいいことだが、結局店舗が歯抜けではお客さんは歩かない。商店街としては新規参入業者に門戸を開いている。歩いて楽しい道にできるよう努力していきたい」と話す。

 取材で実際に近江の地獄めぐりを利用すると、さまざまな割引でお得感はあるものの、商店が少ない区間数百メートルを歩く時間を少し長く感じてしまう。一方、翌日の日曜には年に1度のイベント「多賀ふるさと楽市」が絵馬通り一帯を通行止めにして開かれた。町特産の食べ物や雑貨の屋台、体験ブースなど50店が並び、往復しても苦にならない。毎週末が「まつり」とまではいかなくても、まちそのものの魅力や参拝の非日常感が感じられる仕掛けを期待したい。

[京都新聞 2016年10月19日掲載]

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