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烏丸半島の空閑地活用 文化や景観相乗効果を

湖南総局 上坂恭平
水資源機構が売却処分する烏丸半島中央部の未利用地(草津市下物町)
水資源機構が売却処分する烏丸半島中央部の未利用地(草津市下物町)

 草津市下物町の烏丸半島が転換点を迎えようとしている。大規模リニューアル中の滋賀県立琵琶湖博物館が来館者数を取り戻しつつある一方、市立水生植物公園みずの森は国内最大級とされたハスの群生地が消失した影響を受けて苦戦。さらに、半島を保有する水資源機構が売却処分を目指す未利用地について、市が購入する意向を示した。湖国の観光や文化政策を考える上で欠かせない場所だけに、今後の動きに注目が集まる。

 1996年開館の琵琶湖博物館。来館者数は97年度の97万3千人をピークに減少し、2010年度以降は35万人前後で推移してきた。15年度から3期に分けてリニューアルを進め、今秋に2期工事が終わったばかりだ。

 1期の目玉だった、世界最古のバイカル湖(ロシア)に生息するバイカルアザラシの展示は人気を呼び、16年度は46万1千人にまで回復した。2期は二つの展示室を改装し、標本や剝製に触れられ、学芸員の研究を間近で見ることもできる。湖岸へと延びる空中遊歩道も完成し、同館は「琵琶湖や自然をリアルに感じ、深く学べる展示に進化した」と話す。今後は20年夏までに別の展示室2室をリニューアルする計画だ。

 対照的に、直線距離で約300メートルに位置する水生植物公園みずの森は苦戦が続く。湖岸約13ヘクタールで自生していたハスが16年夏に突然、姿を消した。貴重な観光資源を失い、同年度の来園者数は前年度比2万5千人減の8万8千人と大きく落ち込んだ。

 巻き返しを図った今夏は酷暑の影響で客足が遠のき、来年1月15日からは隣接する風力発電機「くさつ夢風車」の撤去工事のため約1カ月半の休園を余儀なくされる。小田貴志園長は「言い訳ばかりできない。公園の魅力を高めていく工夫が必要」と力を込める。

 両施設を隔ててきたのが、水資源機構が保有する半島中央部の土地だ。民間活用に向けて県や市と約30年間協議してきたが、リゾート開発などの計画が不況のあおりで相次いで頓挫し、約9ヘクタールが空閑地となっている。

 12年に会計検査院から「保有する必要がない」と指摘を受け、同機構は本年度、一般競争入札で土地売却を目指す方針を決めた。これを受け、市は随意契約で購入する意向を表明。観光振興などを目的に、宿泊や飲食などができるレクリエーション施設を整備する青写真を描いている。

 人口が増え続ける草津市で、半島を含む北部エリアは高齢化率が高まり、地域差は広がりつつある。半島内では「イナズマロックフェス」など大型イベントも開かれており、近くの住民からは「売却を契機に地域がさらに活気づけば」との声も聞かれる。

 私も活性化に期待したいが、ただにぎわいさえすればいい、とは思わない。博物館やみずの森は単なるレジャー施設ではなく、文化や学びの側面があることも忘れてはならない。空閑地の利活用が、半島の特性や景観と調和し相乗効果をもたらすものとなるよう、湖国出身者の一人として願う。

[京都新聞 2018年12月19日掲載]

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