The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

少ない女性地方議員 立候補しやすい仕組みを

滋賀本社 岡本早苗
女性議員比率が16%の滋賀県議会(大津市・滋賀県議会)
女性議員比率が16%の滋賀県議会(大津市・滋賀県議会)

 4月の統一地方選滋賀県議選(7日投開票)に向け、各政党の公認、推薦候補を取材する機会が多いが、女性の立候補予定者が圧倒的に少ないことに改めて驚いている。男性の場合以上に、女性は選挙に出ること自体のハードルが依然として高い。過疎地を中心に地方議員のなり手不足が言われる今、誰もがチャレンジできる環境の整備が急がれる。

 現在の滋賀県議会(定数44、欠員1)の女性比率は、実は47都道府県議会中3位。高いとはいえ16%(7人)に過ぎず、2位の京都府で18%、1位の東京都でも29%にとどまる。

 男女合わせて59人が立候補した前回2015年の滋賀県議選では、女性11人中8人が当選した。当選率は男性75%、女性73%と、数字を見る限り女性が特に当選しにくいわけではないものの、今回も立候補の動きは低調だ。先月末時点で立候補予定者の9割を男性が占める。

 どんな壁があるのか。「議員は地域に認められないといけないけれど、その地域が男社会。選挙では政策に加えて学歴や経歴も問われるが、これらをアピールする女性は反感を持たれるのが現状」と、あるベテラン県議は語る。

 「むしろ女性有権者に受け入れてもらうのが難しい」と本音を漏らす市議経験者もいる。議員活動と出産・育児の両立支援が不足しているのもさることながら、選挙に出ることへの周囲の理解がまだまだ広がっていないのだ。

 女性参画の実情に詳しい三浦まり上智大教授(政治学)は編著書の中で、女性は介護など家族的責任の重さに加え、配偶者の協力が得にくく、家庭責任を果たすべきという根強い性別役割分業意識にさらされると指摘している。「政治家になることを阻害する要因には、大きな男女差がある」(『日本の女性議員』)というのは、取材でも実感する点だ。

 経済的な負担も重い。立候補には公選法で定められた供託金(県議60万円、市議30万円、町議なし)を納める必要があるが、選挙で一定の票を得なければ没収される。事務所や街宣活動にもお金がかかる。選挙のために仕事を辞めれば、再就職のしやすさや賃金に男女格差がある現状では、落選した場合の生活不安はより大きい。女性に多いひとり親(シングルマザー)ならなおさらだろう。

 ある政党関係者は「生活不安を少なくするような制度があれば、もっと立候補を勧められるのだが」とつぶやく。政治に関心を持つきっかけづくりや人材育成も不可欠だ。そうした仕組みを工夫することは、女性に限らず、意欲のある誰もが新たな道にチャレンジできる環境整備につながるのではないだろうか。

 日本の女性衆院議員の割合は10・1%で、議会の国際組織「列国議会同盟」の193カ国中160位と遅れている。昨年5月には男女の候補者をできる限り均等にするよう政党に努力を促す「政治分野の男女共同参画法(男女候補者均等法)」が施行された。

 今回の統一地方選は、法施行後初めての大型選挙だ。その行方を注視し、議会の担い手の多様化、自治の活性化に何が必要かを考えていきたい。

[京都新聞 2019年2月6日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP