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近江鉄道存続問題 沿線の将来像見据えて

滋賀北部総局 長谷川祐太
近江鉄道の必要性や存続形態などを議論する県や沿線市町などの担当者や有識者(東近江市役所)
近江鉄道の必要性や存続形態などを議論する県や沿線市町などの担当者や有識者(東近江市役所)

 営業赤字が二十数年にわたって続く滋賀県東部の近江鉄道(本社・彦根市)を巡って、県や沿線市町などの議論が進んでいる。このままでは事業の継続が困難だとの認識を会社側が示す中、自治体側は地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会の設置に向けて存続議論に本腰を入れている。

 「近江鉄道は、この先の超高齢化が進む中で市民にとって重要な生命線。存続を前提として各種施策を推進していく」。同鉄道の駅が市域に13ある東近江市の小椋正清市長は3月定例市議会の答弁で力を込めた。

 同鉄道は、琵琶湖の東側の5市5町で計3路線が走る。鉄道事業の営業赤字は1994年度から続き、2017年度は約3億5400万円にのぼった。同年度の輸送人員も、ピーク時の1967年度の1126万人から半分以下の479万人に落ち込んだ。

 同社は2016年6月に「経営努力のみで鉄道事業を継続することは困難」との認識を県に伝達。これを受け県と沿線市町などは、地域公共交通活性化再生法に基づいて国の支援や地方財政法上での優遇措置を受けられる地域公共交通網形成計画を策定することで合意した。

 現在、沿線市町などは、同計画を策定する法定協議会を今年10月に設置することを目標に据え、鉄道線の必要性▽鉄道線として存続する場合の運行形態▽廃線とした際の代替交通手段―などについて議論を重ねている。

 昨年12月に行われた第1回の会議では、鉄道事業を廃止して、代替バスや鉄道軌道を転換したバス高速輸送システム(BRT)を導入した際の試算の報告があった。出席者からは、初期投資が多額になる▽バス運転手の確保が困難―などと懸念する意見が相次いだ。

 沿線市町から存続を望む声が強い一方で課題も多い。同社は、老朽化が進むレールの取り換えや橋の補修で、18〜27年度の設備投資に08〜17年度比約40%増の56億5千万円が必要との見通しを示している。また国の調査によると、沿線市町の人口は45年には15年比で約15%減となり、輸送人員のさらなる低下も避けられない。

 存続方法の検討では、上下分離方式の採用や県や沿線自治体による第三セクターの設立が挙がっているが、赤字の路線に税金が投入されることに関して市民の目は厳しい。

 存続には、利用者を増やす取り組みが欠かせない。兵庫県加西市や県の第三セクター会社、北条鉄道では11年度から沿線住民と連携して駅トイレの整備やイベント開催に取り組んできた。結果、利用者増につながり、15年度の営業収益は過去最高を記録した。

 沿線市町には、存続ありきの議論だけでなく、利用者増の方策や、鉄道を残してまちづくりにどう生かしていくかのビジョンも示してもらいたい。

[京都新聞 2019年3月20日掲載]

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