The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

外国人労働者と共生社会 多様性尊重する時代に

東京支社 西川邦臣
よぎの愛称で江戸川区議に当選したプラニク・ヨゲンドラさん(左から3人目)。選挙戦では共生社会の実現を訴えた=4月22日、東京都江戸川区
よぎの愛称で江戸川区議に当選したプラニク・ヨゲンドラさん(左から3人目)。選挙戦では共生社会の実現を訴えた=4月22日、東京都江戸川区

 東京の街は外国人でいっぱいだ。京都のように大きな荷物を抱えた観光客も多いが、立ち寄ったコンビニエンスストアや飲食店の店員が全員外国人ということも珍しくない。買い物や食事を終え、ふと思う。彼らの権利や待遇は守られているのだろうか、彼らは正当な権利で働いているのだろうか。そして、異なる文化や習慣で育った人たちとともに生きる社会への準備が私たちにできているのか、と。

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が4月に施行され、日本で働く外国人は今後ますます増えると想定される。統一地方選の後半戦で、日本国籍を取得し「元外国人」として東京の区議選に挑んだ新人2人の選挙戦を取材した。何を求めて地方議会を目指し、何を変えたいと願っているのか。訴えの表現こそ違えど、2人はともに、日本人と外国人が隣人として暮らすことになる地域社会のあり方を問うていた。

 当然のことながら、外国人労働者はロボットではない。仕事が終われば自宅に帰るし、買い物をして食事をする。ごみも出す。休日には趣味を楽しんだり、レジャーにも出かけたりもする。職場を離れれば、地域の住民である点は日本人と変わらない。入管難民法の改正に至る過程では労働現場の人手不足を補うことばかりが強調されたが、外国人を生活者として受け入れる視点からの議論は少なかったように感じる。

 「言葉や習慣が違う人たちが暮らしやすくするには、日本のルールやマナーを理解しやすくしてあげるなどの配慮は必要。障害者や高齢者、子育て中の世代が暮らしやすく配慮するのと同じでしょ」。江戸川区議に当選したインド出身のプラニク・ヨゲンドラ(よぎ)さん(41)の問いかけはシンプルだ。地域の実態に合わせ、誰もが住みよい街をどうつくるか。それはまさに、私たちの生活に最も身近な地方政治の役割になる。

 ところが、その地方政治への関心が極めて低い。平成最後となった統一地方選の投票率は、京都も滋賀も東京も過去最低を更新する自治体が多かった。これでは、住む街をよりよくする権利を放棄していると言われても仕方がない。

 改正入管難民法の施行を受け、すでに介護業や宿泊業などで新たな在留資格となる「特定技能」の試験が始まっている。法務省の統計によると、2018年6月時点の在留外国人数は東京都が55万5千人。京都府は5万8千人、滋賀県には2万8千人が暮らしている。政府は一定の技能を持ち即戦力となる「特定技能1号」の人材受け入れを5年間で最大34万5千人と見込んでいる。すでに国内で働いている技能実習生からの移行も相当数あるとみられるが、昨今の人手不足の現状をみると、京滋の職場で働き、暮らす外国人は増えることが予想される。

 少子高齢化が進む地方にとっては、外国人住民の増加は地域に活力を生む側面もあるだろう。今日から令和の時代が始まった。多様性を尊重してともに歩む時代にしなければならない。

[京都新聞 2019年5月1日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP