Kyoto Shimbun


エコな挑戦

(10)針江生水の郷委員会

 安曇川の伏流水がこんこんとわく琵琶湖畔の高島市新旭町針江地区。わき水を生活用水に使う「川端(かばた)」が家々で今も大切に守られている。噴出口にあたる元池。その水を利用しやすく引き込んだ壺池。使った水が水路へ流れ出す端(はし)池には水をきれいにしてくれるコイがゆったりと泳いでいる。

川下への心遣い伝える

豊かなわき水をたたえる川端。福田千代子さん(右)が見学者に地域ではぐくまれた「水の循環」を説明する(高島市新旭町針江)

 「誰に言われなくても川上の人は川下の人のため水を汚さないよう、また下の人は上の人を信頼して水を使います」。案内役の福田千代子さん(56)が見学者に説明する。清らかなわき水は1年を通じて13度前後。そばにいるだけでひんやりと心地いい。了解を得て、水をすくって飲んでみるとおいしかった。

 2年前。自然の恵みに包まれた暮らしぶりがテレビで紹介され、のどかな集落が一変した。川端を求め、見知らぬ人が無断で庭へ入ってくる。住民に不安が広がった。地元有志が見学者の受け皿に生水の郷委員会を結成。生活を守りながら、暮らしに根付く水の循環を紹介している。

 毎月第2、第4土曜にエコツアーを開く。年に4回、参加者を公募して川も掃除する。地元の協力で空き家を借り、宿泊施設「生水の宿」も整えた。全国から年間2000人以上が訪れる。

 会長の田中義孝さん(61)は「ここは観光地と違います。わき水は私たちには空気みたいなもの。みなさんによいとこやと言われ、故郷を見直した。どなたも誰かの川上。川下の方への心遣いをお伝えしたい」と話す。(社会報道部 勝聡子、2006年8月22日掲載)

 針江生水(しょうず)の郷委員会 メンバーは46人。エコツアーは琵琶湖畔のヨシの群生地から集落をめぐるコースで、地元産の野菜や川魚を使った郷土料理も味わえる(2000円)。見学も受け付けている(1000円)。TEL090(3168)8400。


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