Kyoto Shimbun 1999.9.20
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グループホームに夢

 京都府北部のグループホーム「ふれあい」(与謝郡加悦町)の施設長山崎さわ江さん(32)は、いまだ決まらない介護報酬の額に強い不安を抱いている。「ぎりぎりの経営です。いまのお年寄りの暮らしはどこまで守れるのか…」

 グループホームは、痴ほう高齢者が少人数で極力、自活する施設で、症状が安定するなどの効果がある。北欧で広がり、日本でも近年急速に注目を集め、介護保険の対象になった。

老いの暮らし

 昨年一月、山崎さんが自宅を開放して家族と一緒に始めた「ふれあい」は、府内で初めて厚生省の認可を受けた。痴ほう性のお年寄り五人(男性一人、女性四人)が個室を持ちながら一緒に暮らしている。

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お年寄りもできることは手伝う(京都府加悦町)
 

 共同の居間でテレビを見たり、介護職員が行う洗濯物の片づけや食事作りを手伝ったり、好きなことをして過ごす。決まったプログラムはなく、各人が「家で暮らすペースを大切にしている」。ほとんど口を開かなかったお年寄りが話を始めるなど、うれしい変化も出てきた。

 消える補助金

 悩みの種は経営だ。一人が生活するのに月三十五万円程度が必要だが、個人負担は十三万四千円に抑えている。あとは国や町、町社協の補助金などで賄う。だが、介護保険導入に合わせて補助金はなくなり、社協も手を引く。「ふれあい」の隣で小規模な有料老人ホームを営む山崎さんの法人に経営がのしかかる。

 「入所者の通院のために送迎サービスを整えたいし、在宅復帰を支援するために訪問介護も行いたい」。サービス向上に向けて山崎さんの夢は広がるが、見通しは立っていない。

 実際、行政の補助金がないと、どうしても高額な利用料負担が必要になる。負担月額が平均四―六万円とされる特別養護老人ホームと比べ、補助金のない施設では自己負担が四十万円になる例も珍しくない。京都市山科区・グループホーム勧修で、年間所得が一千万円を超えるという家族でも「土地を売り払い、何とか費用を工面した」と話す。施設側も「一人でも退所すると、たちまち赤字」。

 それでも現在、京都市の医療・社会福祉法人が運営する五カ所のグループホームは満室状態。「在宅に近い状態で施設並みの二十四時間介護が受けられるのが魅力」との声もあり、電話での問い合わせも多い。

 赤字でも設置

 要望が高いのに、施設がわずかで運営への支援も少ないのは、グループホームが新ゴールドプラン(高齢者保健福祉計画)の整備対象ではないからだ。

 京都府内で、京都市以外に認可施設があるのは「ふれあい」と船井郡八木町だけ。「特養の整備が先で、とてもグループホームを考える余裕はない。将来的には必要だと思うのだが…」(舞鶴市長寿社会推進課)と後回しになりがちだ。

 民間が建てるにも、土地取得や施設建設への助成制度が整備されていない。「なぜかグループホームは国が在宅介護と位置づけている。よっぽど適当な民家が賃貸できないと無理」(京都市左京区の社会福祉法人)。

 それでも、地域住民の手でグループホームを設立しようとの動きが出ている。山城地方では昨秋、宇治市など七市町の住民が「グループホームをつくる会」(五十二人)を結成した。市民とふれあえる街中で、場所を探している。

 会員の一人、宇治市木幡の大学講師水島克己さん(41)は会より一足早く、家族で会社を設立、自宅を改築して来年四月からホームを開設しようと準備中だ。特養で十二年間ボランティアをするうち、家庭的なグループホームの必要性を痛感した。

 改築などの費用に四千万円かかるという。「土地を担保に融資を受ける予定だが、銀行も慎重。熱意だけではだめか、と落ち込んだこともある。最初は赤字であっても、お年寄りから僕も家族も何かを学べると思う


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