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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

京都検定 3

観光業界に浸透

鵜崎雅之さん

 京都以外に住む人の京都への思いは、地元よりはるかに強く、知識も、京都在住者を上回る人が少なくない。「京都検定」の実施で、後に証明されたことだった。これでは、観光客を受け入れる側として立場がない。何より、歴史や伝統文化、あるいは先進的な風土など、京都の特色やよさを知らないで、観光客をもてなす、ゆき届いた温かい心など生まれるはずもないだろう。

 こんな意識も手伝い、観光関連業者の間で、京都検定を評価する意識が高まり、定着してきた。中でも、観光客のウエートが高まるタクシー業界で顕著だ。

 「教育担当の経験があり、京都の知識には、ある程度自信はあります。今後、私も受験するつもりなんです」と、言うのは彌榮自動車の取締役営業部長北川賢持(52)。同社は、京都のタクシー業界の中でグループとしては保有車両が最も多い。2004年の第1回の検定試験では、テキスト代の補助も実施して、350人が受験した。その後も、会社を通して60人から80人が受験している。

北川賢持さん

 「MKさんとか、大手タクシー会社は大概やってますが、実は当社も独自の乗務員の観光資格試験の制度はあります。ただ、京都検定には公的な意味がある。最近、旅行会社からも京都検定の資格をもったドライバーをという要望が来るようになり、値打ちが出てきた」と北川。京都検定を積極的に活用していくつもりだ。

 同副部長の北野均(48)は既に三級を取得。学生時代から文化財の発掘のアルバイトをするなど、個人的にも京都検定には関心が高い。「『公式テキスト』の存在が大きい。検定は、従業員みんなの観光知識や意識向上の刺激になる。それと共通の話題にもなるんです」と、乗務員とともに検定合格へ、チャレンジを続ける。

北野均さん

 第3回検定試験で、受験者50人をめざしたのはハイアットリージェンシー京都。昨年3月にオープンしたばかりで「地元の人にいかに愛され、受け入れてもらえるか」が、喫緊のテーマとなっている。

 「東京出身の私も含め、京都をよく知っている者が、実に少ない。検定の問題には京都のことが幅広く出ているし、これは知識が増えて京都を学ぶのにいいな、と思いました」と人事部長の鵜崎雅之(43)。

 客の京都案内が大切な役割のコンシエルジュ高橋景子(28)は、合格者の1人。「検定の勉強で京都では普通と思っていたことが他の地域にはない風習・伝統だった、など発見も多く面白かった」と。仕事へ生かせる手ごたえを感じた。

 「今回の合格者をトレーナーに、従業員の京都通度を高めていきたい」と鵜崎は話す。

伊藤修さん

 京都のイメージのシンボルともいえるのが、5つの花街。このバックアップをめざす京都伝統技芸振興財団(愛称おおきに財団)の参事伊藤修(62)は「これまで、宮川町を対象に、講習会や観光スポットのバスツアーをやったり、検定への関心を高めてきた」という。財団の講習会では、長いホテルマンの経験を生かし、講師を務めた。

 「芸舞妓さんはじめ、忙しい業界ですが、受験者も出ていると聞きます。合格するかどうかは別に、検定のための勉強は京都の一般教養ですからね。身に付けて、さりげなく披露すれば、お座敷でも役に立ちます。ぜひ、1人でも多くにトライしてもらいたいんです」と伊藤。今年は新しい形の勉強会を開きたいと考えている。

 京都検定は、観光関連の業界に、じわじわと浸透。プロフェッショナルな「京都人」育成へ、刺激を与えつつある。(敬称略)

[京都新聞 2006年2月7日掲載]