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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

京都検定 4

1万人の衝撃

砂田信夫さん

 毎回の受験者1万人以上という「京都検定」の衝撃は、京都人気を証明するばかりではない。その爆発的ヒットは「ご当地検定」なるものや、さまざまな業界の検定を全国各地に次々と誕生させた。

 その中でもひときわ目立つのは、京都検定の成功を弾みに実施し、たちまち全国区の検定となった「きもの文化検定」。京都にある全日本きもの振興会が、昨年11月に行い、実に、7200人もの受験者を集めた。

 「いやあ、着物離れといわれているのに、予想できない反応でした。こんなに着物への関心が高いとは…」と驚きを隠さないのは、検定の教本委員長を務めた高田啓史(48)。会場に続々と詰め掛ける受験者に目を奪われた。

佐々木亮一さん

 「勇気付けられましたねえ。受験者は、着物好きな一般の人が多かった。着物は、決してマイナーじゃない。まだまだ業界はやれるぞ、とうれしくなりました」と、振興会と京都織物卸商業組合常務理事の佐々木亮一(62)も話す。

 「教本を公式として、着物文化のいわば全国統一テキストを作ったことが画期的。これで業界の意識が一体となり、そして、取り組めたことの実績は、大きい」と高田。佐々木も「検定をやって、着物普及のターゲットは確実にあるということを教えられた。考えもしなかった収穫」。検定は、業界と消費者の距離を縮めた。

高田啓史さん

 京都では、市教委が昨年、小中学生対象の「ジュニア日本文化検定」を実施した。その普及のためにと、自ら京都検定の二級に挑戦、合格した砂田信夫(58)。市教委の指導部長を務める。

 「行き帰りの地下鉄が勉強部屋でした。通り過ぎていた神社にこんないわれがあったのか、勉強をして驚いた。郷土が途端に身近になりましたね」と砂田。「ジュニア検定にはいろいろ意見もあるが、子供が同様の思いを持ってくれ、親子で一緒に、そうした場所を訪ねてくれるようになったら最高」と検定の意義をPRする。

 各種の検定が増えていくように、関連ビジネスも広がっている。書籍はもちろん、特に先端のIT(情報技術)分野で目立つ。

高橋勇一郎さん

 「1回目でブームとなったので、『合格ネット』というサイトを作った」と、PHP研究所eビジネス事業部のディレクター高橋勇一郎(40)。同研究所はITを使ってビジネスマン向けの研修など行うeラーニングで実績があった。

 知識レベルを測定できるというのがみそ。インターネット上で対策ドリルを解いていくと、自分の強みも弱点も判定してくれる。「月1000円で、一夜漬け用にいいんでしょうか、受けています。おかげで合格できたという言葉を聞くと、京都の活性化に少しは役立っているのかとうれしい」と話す。

 昨夏、携帯電話専用の関連サイトをスタートさせたのは京都新聞開発。「『京の三問』が目玉ですね。毎日三問ずつ、今夏までに1100問の問題を解けば、実力は間違いなくつきますよ」と担当の柴田崇(32)。「これからは、問題から関連する観光サイトに移っていける京都の総合サイトに発展させられれば」と夢は広がる。

岡村充泰さん

 地域、社会に貢献する企業を打ち出そうと、京都検定の「応援サイト」を運営する企業もある。事務機器販売からオフィス全体の提案などへ展開を図るウエダ本社。

 サイト名は「京都流」。社長の岡村充泰(43)が取材などで先頭に立つ。「検定に関する情報はもちろん、京都の伝統文化など、知っていそうで知らないことがよくわかる。実は私も勉強中です」と岡村。「ビジネスとは無縁。京都のために何をする」の象徴として取り組む、という。

 京都検定の波動は、さまざまなシーンで反響しつつ、広がっていく。(敬称略)

[京都新聞 2006年2月8日掲載]