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 京都新聞は、観光都市京都のパワーアップを目指して企画「観光・京都おもしろ宣言」をスタートさせました。人々の価値観はいま、物の豊かさから心の豊かさに移りつつあります。京のまちは伝統、歴史、自然環境と、どこを取っても格別な魅力をたたえてきました。京都新聞はそうした魅力に光を当て、京都を元気にする紙面を多彩に展開するとともに、フォーラムやイベントの開催、伝統文化体験の案内など、さまざまな「おもしろ」企画を発信していきます。

京都検定 5

「もてなしのプロ」誕生

中村明記さん(右)と木村純子さん

 第3回「京都検定試験」の結果が、5日に発表された。今回の合格者数は、これまで最高の5119人。これで、3回の合格者累計は1万1千人を超えた。「京都のもてなしのプロ」が、1万人も誕生したといえるが、合格者はどう受け止めているのだろう。

 昨年11月、第1回の一級合格者36人のうちの6人が、1冊の本を執筆した。「おすすめ京都案内」や「力試し問題」など、最難関を突破した人たちならではのノウハウが詰め込まれている。コンセプトは検定で京都をいかに楽しむか。

 その1人、観光ガイド木村純子(57)は、検定一級合格を機に、所属していた派遣クラブから独立。合格ゆえか、最近は東京の旅行会社から特別コースの仕事が舞い込むようになった。

 「京都の街と古典にあこがれ、大分から京都に来てバスガイドになったんです。やはり、大好きなんですね。仕事がそのまま、身について」と、難関突破の苦労はみじんも感じさせない。「むしろ合格したことでプレッシャーを感じます。私の体験が役に立って、ガイドの方がたくさん合格され、レベルアップにつながったら」と話す。

林寛治さん

 東京や福岡など各地を回り、2年半ほど前、25年ぶりに生まれ育った京都に戻った証券マンの中村明記(51)、がぜん京都の面白さに目覚めた。

 「テキストを買ってみたら、いろんなジャンルが網羅されている。すごく興味をかきたてられ、勉強にはまってしまいました」。二級は難なく合格。翌年、新聞などに紹介され「受けざるを得なく」なった一級も、見事クリアした。「京都の伝統や歴史…。学んで、知れば知るほど好きになる。勉強する興味は尽きません」と中村。「できたら、知的レベルの高い京都旅行というものを、提唱してみたい」という。

 この本の企画と編集を担当した広告企画業の小林達弥(45)は、合格者の知恵が、新しい京都の魅力につながると確信する。「はっきり先は見えないが、これからの合格者も含め、ネットワークづくりをコーディネートしたい」

戸祭達郎さん

 第1回の合格者の中には、まだまだ勉強を深めたいと考える人も多い。大津市に住む林寛治(69)もその1人。昨年4月に、京都産業大学にある日本文化研究所の特別客員研究員になった。

 「3年前にすべての仕事から離れ、自分の趣味に京都検定がぴったりはまったんです」。学生時代は観光ガイドのアルバイトに明け暮れた。観光も歴史も何よりも好きだ。「合格は、本当に私の第2の人生を開いてくれました」としみじみ語る。「今では忘れられたようになっている伏見城を研究したい」。ふるさとのお城が、ライフワークになる。

 人気の検定も、今年で4回目を迎える。このあとはどうなるのか。

小林達弥さん

 「1万人にも達した合格者をどう組織し、いかに活用するのか、その仕組みづくりが必要」と今後の課題を指摘するのは、観光が専門の立命館大学経済学部教授戸祭達郎(65)。「3回の実施を経て、京都をPRし、おもてなしの心を高めようという検定の目的は一定効果を上げた」とみる。その一方「この原点を大事にしながら、観光の産業化という視点で、そろそろ検定を見直す時期にきたのではないか」という。

 京都商工会議所で「合格者の会(仮称)」の設立は、スケジュールに入っている。「観光振興やまちづくりで活躍してもらう場にしたい。検定は、合格することも大事だが、勉強することで、いかに京都は素晴らしく、楽しいかを知ってもらうきっかけになる。全国の検定のさきがけとして、工夫を重ね続けていく」と担当の会員サービス部長佐藤重紀(57)。

 京都の内外で、「京都」を鮮烈に浮き上がらせた「京都検定」。今、さらなる進化への段階に至った。(敬称略、「京都検定」おわり)

[京都新聞 2006年2月9日掲載]