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映画の太秦 3 テーマパーク動く

時代劇と特撮 「子供に夢を」と熱気

辻村綾二さん

 千恵蔵に右太衛門、錦之助(介)、橋蔵もいた。お姫さまは丘さとみに花園ひろみ、大川恵子。桜町弘子という女優さんも…。昭和30年代の東映時代劇に夢中になった年代には、懐かしい俳優さんの名前。

 太秦に行くといまだに、そのころを象徴する建物がある。「東映城大手門」。映画の中で必ず登場したオープンセットだ。撮影に、そして「東映太秦映画村」団体用入り口として、今なお活躍する。ここをくぐれば、映画の世界が観客と一体にナマで繰り広げられる不思議な空間が現れる。

 「時代劇はクサイでしょう。それがたまらない魅力なんです」−。ちょんまげの武芸者スタイルで現れたのは辻村綾二(りょうじ)(27)。TVドラマ出演などの一方、映画村で人気のチャンバラショーで活躍する。

行吉寛さん

 東京の体育系大学で目指したのは体操選手。だが、好きな映画、しかも時代劇をと、京都に戻り東映の俳優養成所に入った。「月に半分ほどは、映画村で立ち回りや芝居を見せます。昔からの撮影所施設で映画撮ったり、アクションするのは、いい気分ですよ」と辻村。年間100万人以上もの来場者に、時代劇のおもしろさを知ってもらいたいと、一生懸命だ。

 学生時代のアルバイトからそのまま映画村(東映京都スタジオ)に就職した行吉寛(37)は、展示とショーを担当する。15日からの太秦シネマフェスティバルの「戦国祭り」の準備や各展示の入れ替えが重なり、てんてこ舞いの毎日。

 「撮影が終われば、オープンセットは壊される運命。しかし、東映京都撮影所で製作され、今年6月公開予定の『憑神(つきがみ)』のセットは、夏まで残してもらいました。異例です」と行吉。「時代劇映画を作る現場、その魅力をリアルに体験してもらいたいんですよ」。

松岡誠さん(左)と堀江不二人さん

 同時に訴えたいのは、特撮キャラクターなど東映のもう一つの魅力。映画村には、チョンマゲばかりでなく「ゴレンジャーやマジレンジャーといったキャラクターの立ち並ぶ『スーパーヒーローランド』もある。子供さんはもちろん、外国人にも人気」とPR。

 こんな映画村の特製キャラクターTシャツなど、デザインを一手に引き受ける渡辺睦(25)は「こんな面白い職場はない」と、映画村での日々を話す。「撮影所に充満する活動屋の熱い空気。これも、京都のかけがえのない伝統です。このことを一人でも多くの人に伝えたい。私の新しい視点やセンスで、映画村から全国に発信する」と、目が輝く。

 映画村は、昨年、オリジナル企画の映像作品を世に出した。

 「東映は時代劇だけじゃない。特撮も得意です。この2つを組み合わせたキャラクターを考え、子供向けのDVD作品にした」と、映画村企画運営部のアシスタントプロデューサー松岡誠(34)。作品のタイトルは「超忍者隊 イナズマ!」。「夏には、第2弾がレンタル、発売される。今は東京の役者、スタッフがここのセットで撮っていますが、第3弾は、ぜひ、京都の役者とスタッフで。その先には、京都発の劇場用映画にという夢がある」と。

渡辺睦さん

 サブマネジャーの堀江不二人(38)も「ナマで見てもらえるのが映画村の強み。この独自コンテンツをショーにも使って大きく育て、新しい魅力にしたい」と意気込む。

 「時代劇、京都の撮影所と映像文化をどう守り発展させるか。子供にその面白さを知ってもらうのが、一番」と、同部長代理の山口記弘(46)。この思いで、DVDの企画を推進した。「昔のように子供に夢見させる時代劇が、最近はなかったんです。テレビでは難しく、映画村でこそやれる企画。これでテレビや映画に火をつけられたら」と。

 太秦に登場し31年。映画テーマパークの今後の動きに注目だ。(敬称略)

[京都新聞 2007年3月14日掲載]