Kyoto Shimbun 2001.4
アスリートの食卓

高橋 尚子
たかはし・なおこ 積水化学所属のプロランナー。シドニー五輪女子マラソン金メダリスト。1998年バンコクアジア大会で2時間21分47秒の日本最高記録、世界歴代6位をマーク。全国都道府県対抗女子駅伝には計八度、岐阜代表として出場。

食事もトレーニングのひとつ

 女子マラソンの五輪金メダリスト高橋尚子(積水化学)が今月上旬、コロラド州ボルダーでの積水化学の合宿に合流した。三月末まで本紙で選手へのアドバイスを担当した立命大講師の河合美香さんが、同チームの栄養サポートを担当。高橋の食事への考え方や現在の食生活などを、現地からリポートしてもらった。

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 ボルダーに来てようやくトレーニングを始められる環境に自分を置くことができました。今はゆっくりと時間をかけて走り、基礎体力をつけて体を絞っていきたいと思っています。

 食べずにトレーニングして体重や体脂肪を減らそうとは思いません。あくまでも消費エネルギーを増やしつつ、食事からとるエネルギーを少々控えめに…。

 肉や魚類はしっかり食べています。特に高地は酸素が薄いので、レバーを煮たり揚げたり炒めたりして貧血にならないように気を遣ってもらっています。

 食べることは大好き。「食べないと走れない」と小出義雄監督に言われますし、自分でもそう思います。身体がとてもだるくなったり故障する。疲れると集中力がなくなって転んでしまう。よく転びますね。

 長期合宿など練習が厳しい時には、食事の時間が本当に楽しみになります。「今日の献立は何かな…」と考えながら走っていることもあります。おいしく食べるために頑張ろうって。

 以前は食欲に任せて好きなものを好きなだけ食べていましたが、最近は少し気を遣っています。大きなレースを目指してトレーニングを積んでいく時は「食べなくてはいけない」と思います。食べた分、走れる。

 レース直前には必ずごはんうどんを食べます。おもちも。おもちは腹持ちがいいと聞くし、実際マラソン中のエネルギーになるような実感があります。

 大きなレースが終わって練習量が減ると、体重も増えてしまいます。でも、気にしないようにしています。運動量が少なくなってしまうのですから仕方ないって。この時期に心も身体も休ませることも大切だと思うんです。心身ともにリフレッシュしたらまた新しい目標に向かって厳しいトレーニングに挑めます。

 トレーニング面だけでなく、食事や睡眠のことにも自分である程度までは考えるようにしないと。秋のレースで記録をつくりたいので、今は厳しい練習に耐えられる基礎体力をつける時だと思っています。

 食べることもトレーニングの一つ。このトレーニングは大好きです。

競技意欲の高い選手 栄養への関心も高い
 高地合宿など、高橋選手のサポートをしたのは今回で五回目ですが、栄養のある食べ物をよく知っているなと思います。
 「おいしい」と好んで食べる物は、タンパク質が多く体をつくるために大切な成分が多い。例えば、モツの煮込みやレバーの南蛮(なんばん)漬けなどが大好きです。よくリクエストされるので大量に作るのですが、あっという間になくなります。
 競技への意欲が高い選手は、食事への関心も高い。経験を通じて、いま何が不足し、何を食べたらいいかを無意識のうちに分かっているようです。
 よくキッチンにやって来て自分から今後の予定や体調、食べたいもの等を話してくれるので、献立の作成や調理がしやすいですね。(河合=運動栄養学)


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