Jリーグ主審 片山義継さん(49)

「選手と審判、観客が一緒になってサッカーをつくる」と語るJ1主審の片山さん(京都市左京区の宝が池球技場)

 「選手たちのプレーが生きる笛を吹くのが大事です」。サッカーJリーグの主審として十三年以上にわたってピッチを走り、試合をコントロールしてきた。神経質に反則の笛を吹きすぎず、試合の流れを考慮したおおらかなジャッジは選手やサポーターにも定評がある。

 最近、Jリーグ1部で若手審判の判定をきっかけに、選手が不信感を募らせた試合があった。胸が痛んだ。「現象だけを判定するなら機械でもできる」。悪質な反則には毅然(きぜん)と対応するのは当然だが、反則を受けたチームにとって有利な展開が続けばあえて吹かずにプレーを続行させる。

 自らの判定ミスは隠さない。例えば、スローインの判定ミスに気付けば試合中でもすぐに「ごめん、ごめん」と選手に謝る。選手とのコミュニケーションが十分なら信頼関係は壊れない。「生徒と教師のような関係で、対等ではいけない。『大人』の態度を保つのです」

157試合ジャッジ。体力続く限り現役で

 木津高の保健体育教諭。一九八一年に教員生活をスタートし、すぐにサッカー部監督に就任した。当時は審判不足で、公式戦では監督が交代で審判を務めた。審判の面白さに目覚めて「高いレベルのサッカーを見たい」と一級審判の資格を取り、一九九四年にJリーグ主審にデビュー。これまでJ1百五十七試合をジャッジした。

 九五年から二〇〇四年までは国際審判として、ワールドカップ(W杯)アジア予選などで活躍した。中東での予選では、特別扱いの入国審査や渋滞の中をパトカー先導のリムジンでスタジアムに直行するなど、国際審判の待遇の良さに驚いたこともある。

 選手と同様に、主審も一試合に平均十二キロ相当走るという。体力維持のため、週二、三回はランニングに励む。J1主審の五十歳定年制が今年から廃止されたため、現役の続行を決意した。体力が続く限り引退するつもりはない。小学生の大会からJ1まで、年間計約五十試合。週末はほとんど家にいないが、審判業は「自分らしさを失わずにできるから楽しい」。木津川市在住。

(2008年6月5日付け紙面から)