<1> 地域が見守り「復活」
  

 「野球部がないから、どうしようか」。3年前、京都市山科区の安祥寺中への入学を前に、上阪寛君(15)=同中3年=は迷っていた。地元の学童野球でプレーしてきたが、同中野球部は数年前に廃部になっていた。硬式のクラブチームを選ぶか、他の部活に入るか。でも「友達と楽しくできる中学の野球部が一番いいと思っていた」 
4年ぶりに復活した安祥寺中野球部。校庭では部員たちの元気な声が飛ぶ(京都市山科区の同中グラウンド)

 以前、校庭にバックネットを造る署名活動を行うなど野球熱の高い地域だ。学童野球の6年生の親たちは「野球部復活」を話し合い、入学の数カ月前に校長室を訪ねて頼み込んだ。「クラブチームもあるが、地域が見守る学校教育の中で伸び伸びと野球をする方がいい。もう一度、野球部を作ってくれないか」

 京都市内の中学の運動部が減り続けている。同市教委によると、少子化に伴う部員や顧問不足が原因で、近年は各校で運動部を精選する流れにあり、毎年30−50の運動部が姿を消している。10年前、市内で1066あったのが、今は874と約8割に減った。

 安祥寺中野球部も5年前、指導のできる顧問がいないことなどが原因で廃部となった。「復活」の声が上がった時には大学野球の経験がある水谷和之教諭(41)が赴任しており、同教諭が顧問就任を快諾。校庭に4年ぶりの球音が戻った。

 野球部の人気は高く、再スタートには1年生18人に加え2年生も11人集まった。復活から3年目を迎えた今も、親がコーチ役を務め、練習試合に大挙して応援に駆けつけるなど地域ぐるみでチームへの支援が続いている。上阪君は「親には感謝しています。多分、市内で一番、親たちが熱心なチーム。(応援は)うれしいけど、重荷にもなっているような」と照れ笑いを浮かべる。

 かつてスポーツの主役だった野球。少子化などで「野球少年」を取り巻く環境は変わったものの、白球は今も多くの子どもたちの心を引きつけている。平成の野球少年の姿を追う。

 水谷教諭は「地域から野球をなくすことはあり得なかったのでは。廃部になった部が復活するのも野球ならではでしょう」。根強い野球人気をあらためて感じている。

 <メモ>  日本中学校体育連盟によると、軟式野球の加盟校は本年度、8945校で、25年前の7593校から約1350校増えた。京都府内では171校、京都市内では73校が活動している。同中体連は「減少する競技も多い中で野球人気は衰えていない」という。

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