<5> 全力を、規律を…原点
  

 「プレーに対して一生懸命であること」「常に声を出し気力を振り絞ること」 
京都北リトルシニアの丸刈り選手たちと東田会長。「勝ち負けよりも大切なものがある」と説く(京都府美山町・長谷球場)

 中学生の硬式野球チーム、京都北リトルシニアの選手たちは練習前、「チーム五訓」を大声で繰り返す。1、2年生の頭髪は丸刈り、華美な服装などを禁じた「部員の心得」もある。創部26年目の伝統を誇るチームには、懐かしい少年野球の原風景が広がる。

 旗揚げから監督を18年間務めた東田巍会長(65)=京都市北区=は、花園高、立命館大を経て近鉄バファローズに入団した元プロ選手だ。かつて野球界で言われた「戦術技術は新しく、精神は古く」を信条に、孫の世代にあたる選手に用具の手入れやあいさつの大切さを説く。「規律や礼儀正しさが野球の良さであり、魅力。勝ち負けも大切だが、今の世の中、もっと大事なものがある」と言う。

 高校野球でも減りつつある丸刈りを求めるのは、目標への気持ちを「清めるため」。一塁手の早川剛君(14)=西賀茂中2年=は「丸刈りは恥ずかしいし、最初はそこまでしなくても、と思った。でも京都北でプレーしたかったから」。ユニホームは「か・つ」と二つ折りで畳むと教わる。三つ折りでは「ま・け・る」からだ。

 7年前のリトルシニアの全国選抜大会決勝で、松坂大輔(西武)を擁する「江戸川南シニア」を破って全国制覇を果たした。最近は厳しさを敬遠し入団希望者が他チームへ流れるケースもあり少し低迷気味だが、東田会長は「丸刈りが今の子に人気がないのは知っている。でも、譲れない」。

 体格は立派だが基礎体力が落ちた。グラウンドで自分をさらけ出せない。辛抱、集中ができない…。30年近い指導から、子どもは大きく変わってきたと感じている。

 「自分が子どもの時は野球が一番楽しかったが、今の時代は遊びも多いし、塾もある」。しかし、土にまみれて、歯を食いしばって白球を追う選手の真剣な表情を見ると確信する。「野球が好きという子どもたちの気持ちだけは変わらない」(おわり)

 <メモ>  リトル、ボーイズ、ヤングなど硬式の少年野球リーグは他リーグとの試合を禁じているケースが多いが、1994年からはリトル、ボーイズの交流大会が始まった。各リーグとも国際交流に力を入れ、「世界選手権」「アジア選手権」などにも出場している。

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