社会の在り方 垣間見える記事

報道部 太 田 敦 子

奈良県出身 1997年入社
北部総局、文化部などを経て、2016年から現職

 

 新聞記者になって20年余り。1年半ほど前に初めて宗教担当となった。「こんな世界があったのか!」と入社当時は毎日のように感じていた新鮮な驚きに満ちた日々を過ごしている。

 

 鎌倉時代の念仏弾圧を受けて「南無阿弥陀仏」を「モーダーナンマイトー」と言い換えて法要を始めた寺は、千年近くたった今も同じ念仏を唱え続ける。祇園祭の取材では、町内の宝とも言える「神体」の頭部を守る順番が回ってきた家庭が、旅行も控えるほど真剣に祭りに向き合う姿を目の当たりにした。何年も同じ街で仕事をしているにも関わらず、見えるものがこれほど違うのは、京都という街の深みだと思う。


 宗教担当は寺社や祭りを主に取材する担当だが、「宗教記者クラブがあるのは世界でも京都とバチカンだけ」というまことしやかな噂もある。バチカンに宗教担当記者がいるのか確かめたことはないが、少なくとも京都では毎日のようにどこかの神社や寺で神事があり法要が営まれる。


 自然と、寺社への興味も高まった。休みの日には小学4年生の娘とお寺参りに行く日も増え、興味を持った娘は夏休みの自由研究課題として「京都と滋賀の世界遺産巡り」に挑戦した。仕事なのかプライベートなのか分からないなぁと思いつつ、真夏の暑さに閉口しながら2人で世界遺産を巡るうちにネタも見つかり一石二鳥、ということもあった。


 寺離れや墓じまいなど、寺や僧侶が抱える現代的な悩みに触れることも少なくない。日本人の暮らしと深く関わってきた信仰の在り方は、人口減少や少子高齢化といった社会現象の影響をまともに受けている。病や死など、さまざまな苦しみに寄り添おうと模索する宗教者と出会う機会が増えているのも近年の動きだ。


 宗教という小さな窓を通して、私たちの社会の在り方が垣間見える―そんな記事を書いていきたい。

 

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