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バーチャル競技ゲームに夢「eスポーツ」で世界へ 京都

eスポーツの「クラロワリーグ」に参戦しているポノスのメンバー。(左から)ライキジョーンズさん、フチさん、天GODさん=東京都渋谷区・ポノス江戸オフィス
eスポーツの「クラロワリーグ」に参戦しているポノスのメンバー。(左から)ライキジョーンズさん、フチさん、天GODさん=東京都渋谷区・ポノス江戸オフィス

 コンピューターゲームによる対戦で競う「eスポーツ」が注目を集めている。世界的な広がりを見せ、京都や大阪でプロのチームやプレーヤーが誕生し、国際大会を目指して腕を磨く。バーチャルの世界に自らを投影する若者たちのリアルな姿と熱い思いを追った。

 手元のコントローラーを巧みに操り、画面上のサッカー選手を動かす。ドリブル、パス、シュート。確かな操作技術に加え、対戦相手の戦術を読む思考力がなければ、トップレベルの大会では一勝もできない。

 大阪を活動拠点とするプロのeスポーツチーム「サイクロプス・アスリート・ゲーミング」に所属する黒豆さん(25)=選手名=は5月、Jリーグが初めて開催した「明治安田生命eJリーグ」に出場した。世界的に人気のサッカーゲーム「FIFA18」で争われ、182人が参加した。

 決勝ラウンドは各選手がJ1の各チームから推薦を受け、黒豆さんはガンバ大阪のユニホームを着て臨んだ。優勝者に与えられる「eワールドカップ」の世界予選出場権は逃したが、「相手より先にシュートへ持ち込むコースを見つけることが大事」と敗戦をばねに、毎日約6時間のトレーニングを積む。

 黒豆さんは京都の私立高校を卒業後、大阪の大学に進学。もともとはインターネットで個人対戦を楽しんでいたが、「絶対に勝てない相手はいない」と感じるほど実力を付け、ネットの世界で名が広まった。在学中にプロの誘いを受けた時は「まさか自分にそんな話が来るなんて」と驚いたが、「世界大会もある。挑戦したい」と飛び込んだ。

 プロのプレーヤーの仕事は主に、eスポーツの大会で所属チームの勝利に貢献すること。普段はチームから給料が支給され、大会の成績によって報酬が加算される。欧米など海外では認知度が高く、eスポーツの市場規模は世界で約556億円。今後3年間で1132億円になるとの試算もある。アジア・オリンピック評議会主催のアジア大会で2022年から正式競技になることが決まり、24年パリ五輪での採用も検討されている。

 京都市下京区に本社を置くゲーム制作会社のポノスは、7人の「ゲーマー社員」を採用している。うち4人は、戦略的カードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル(通称クラロワ)」の開発企業が主催する公式プロリーグに参戦。優勝賞金2千万円と世界一決定戦への出場を懸け、アジアの計12チームによる戦いに挑んでいる。

 天GODさん(18)=選手名=は、高校を卒業して入社した会社から1週間で転職した。ポノスからプロ選手の誘いを受けて「自分が本当にやりたいことに挑戦したい」と親を説得。フチさん(24)=同=も「好きなことを仕事にできる」と哲学を専攻していた大学を出て入社した。集中力を維持するためにランニングやストレッチで体調管理を欠かさないという。

 国内ではゲーム依存症や高額賞金を受け取る際の法的な問題などクリアすべき点が残るが、複数の競技団体を統合する形で、2月に「日本eスポーツ連合」が発足。立命館大ゲーム研究センター(北区)の井上明人客員研究員は「日本では去年あたりから盛り上がってきたが、韓国や中国は2000年代からeスポーツの振興を国策で進めている」と指摘。「大学生の多い京都はプレーヤーも多い。任天堂をはじめゲーム関連の企業も集まっている」と京都での発展性に言及する。

 ポノスでゲーム実況などを担当するトンピ?さん(24)は「ゲームを通して培ってきたものを生かした仕事ができることを多くの人に知ってほしい。チームや選手がこれだけ頑張っているということを発信できる場所をつくりたい」と思いを語る。

■eスポーツ

 エレクトロニック・スポーツの略で、2000年ごろから使われ始めた。ゲームの主なジャンルはサッカーや格闘系、戦略的カードゲームなど。今夏にインドネシアで開かれるアジア大会でも公開競技として行われる。

【 2018年06月10日 18時39分 】

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