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大学入試新テストへ対策進む 京都・山城地域、高1から対象

ヘッドホンから流れてくる英文を聞き、タブレット端末につないだマイクに向けて復唱する生徒たち(6月、木津川市兜台・南陽高)
ヘッドホンから流れてくる英文を聞き、タブレット端末につないだマイクに向けて復唱する生徒たち(6月、木津川市兜台・南陽高)

 2020年度から現行の大学入試センター試験に代わって大学入学共通テスト(新テスト)が始まり、入試が大きく変わる。今春入学した高校1年生からが対象で、英語で話す力や、充実した高校生活の記録といった新たな観点も重視されることになるため、京都府山城地域の府立高が対策に向けて動き出している。

■英語 話す力を育成

 「History helps us…」

 南陽高(木津川市)の英語の授業。1年生がヘッドホンから流れる英文を聞き取り、すぐにタブレット端末につないだマイクに向けて復唱した。録音して弱点などを分析し、生徒に伝える。聞く力を養い、英語がすぐに口をついて出てくるよう習慣づける「シャドーイング」と呼ばれる練習法だ。永橋朱音さん(15)は「文脈を理解しようとすると、英文を聞き漏らしてしまう」。他の生徒も苦戦している様子だ。

 新テストの英語は、従来の「読む」「聞く」に加えて、「書く」「話す」の計4技能を問う。同高は4月から英語と国語の教員でプロジェクトチームを作って対策を進めている。担当の杉本喜孝教諭(54)は「英語で即興のやりとりをするには、母国語でも自分の考えを伝える習慣を付ける必要がある」と今後を見据える。

 他の高校も同様に英語の話す力の教育に向けて動いている。城南菱創高(宇治市)などは昨年度まで3技能で実施していた英語検定試験「GTEC(ジーテック)」について、本年度の1年生からスピーキングテストも含む4技能で受験する予定だ。

 新テストの国語と数学は、記述式問題も出題される。西城陽高(城陽市)は両教科で教員1人ずつを情報収集担当とし、昨年の試行調査で問われたポイントなどを参考に、校内の定期試験で記述式の問題を出題した。

■調査書充実へ記録も

 生徒のさまざまな活動や個性を評価するため、高校が提出する生徒の「調査書」も重視される。これまでの「裏表記入で1枚」という制限がなくなり、高校時代の経験をより多く記入できる。文部科学省は大学に一般入試での活用を促している。

 莵道高(宇治市)は本年度の1年生全員に手帳を配布した。学習や部活動、日常の取り組みを書き留めるよう生徒に呼び掛け、調査書に書くことができる「ねた」を1年次からため込む狙いだ。

 期待する効果は、それだけではない。松下一渓さん(15)は「思っていたより睡眠が多く、もっと勉強などに時間が当てられると気付いた」と話す。1学年部長の堀幸輝教諭(42)は「日常から課題を見つけて解決に取り組むプロセスは、受験の有無に限らず、自らのキャリアを考えていく上で必要な力になる」と話す。

 城陽高(城陽市)も昨年度から1年生に手帳を配布し、記録を付けるよう呼び掛けている。

 一方、久御山高(久御山町)は、部活動をしていない生徒を中心に、同校へ依頼が来る地域ボランティア活動を紹介するなど、日常の取り組みが充実するよう働き掛けている。

 ただ、入試改革については、新テストの問題レベルや、大学ごとの調査書の活用の仕方など不確定な要素もあり、府立高関係者からは「内容が定まらない中で対応を迫られるのは悩ましい」との声も聞かれる。

【 2018年07月30日 16時30分 】

ニュース写真

  • ヘッドホンから流れてくる英文を聞き、タブレット端末につないだマイクに向けて復唱する生徒たち(6月、木津川市兜台・南陽高)
  • 莵道高の1年生が日々の学習記録や、1週間の目標と振り返りなどを記入した手帳(宇治市五ケ庄・同高)
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