かやぶきの里の茅場ピンチ 京都、相次ぐ台風と豪雨で
かやぶきの里で知られる京都府南丹市美山町北の伝統家屋で使うカヤを育てる「茅場(かやば)」が、昨秋からの相次ぐ台風と集中豪雨で大量の流木と土砂が流れ込み、“瀕死(ひんし)”の状態になっている。復旧には専門業者に頼るしかないが、かなりの費用がかかるため、地元では「なんとか資金を確保して早く元の姿に戻したい」としている。
茅場は里の由良川対岸にあり、広さは約1ヘクタール。1993年に重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのを機に地区で整備し、カヤを育てている。毎年、雪の降る前に刈り取って寒ざらしにし、乾燥させた後、各家の屋根裏で保管したり、地元の業者に売却したりしてふき替え時に使ってもらうようにしてきた。
ところが昨年10月の台風21号で茅場に大量の土砂と流木が流入した。今年4月、住民総出で搬出を試みたが、人力では到底無理で専門業者に頼むしかないことが分かった。費用捻出を図るもカヤは災害補償の対象外とされ、補助申請した府の「京の森林文化を守り育てる支援事業」は不採択になった。
その間、7月の西日本豪雨、8月の台風20号によって茅場は再び冠水。生命力の強いカヤは成長してきてはいるが、流木などを撤去しないと刈り取りは困難で、このままでは茅場の機能を失いかねない状況になっている。
かやぶきの里保存会の中野忠樹会長(65)は「美山の農村景観を守っていくためにも茅場は必要。行政の協力も得ながら早く復旧したい」と話している。
【 2018年09月11日 09時18分 】