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老人ホーム、過酷な労働環境要因も 91歳女性暴行受け死亡 

入所者の高齢女性が暴行を受け、死亡していた疑いが浮上した特別養護老人ホーム「サンフラワーガーデン」(向日市物集女町)
入所者の高齢女性が暴行を受け、死亡していた疑いが浮上した特別養護老人ホーム「サンフラワーガーデン」(向日市物集女町)

 京都府向日市の特別養護老人ホームで入所者の女性=当時(91)=が暴行を受けて死亡していた疑いが浮上し、ホームに派遣されていた介護職員の女(22)=京都市中京区=が京都府警に逮捕された。高齢者を守るべき介護従事者による虐待行為が、全国各地で後を絶たない。介護現場の「質」の低下が指摘される一方、過酷な労働環境の改善やストレス対策を求める声も上がる。

 介護施設職員による高齢者虐待は近年、増加の一途をたどる。厚生労働省によると、2016年度は計452件(前年度比44件増)と過去最悪を更新した。このうち、暴力などの「身体的虐待」は6割超に上る。

 虐待が殺人や傷害致死事件に発展するケースもあり、14年には川崎市の介護付き有料老人ホーム職員の男が、入所者3人を施設上階から庭に転落させて死亡させたとして、殺人罪で死刑判決(横浜地裁)を受けた。熊本市のグループホームでも今年8月、職員の男が入所者を殴って死亡させ、傷害致死容疑で逮捕された。

 介護職員でつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京都)は16年6~7月、組合員348人を対象にアンケートを実施。虐待の原因を尋ねる設問に対し、ほぼ半数が「業務の負担が大きい」「仕事上のストレス」と回答した。介護職員の離職率が全産業平均を上回るとの厚労省の調査結果もあり、人材不足が過度な労働を招き、虐待の温床になっている可能性がある。

 京都府内のある特別養護老人ホームでは、年1回のペースで職員のストレスチェックを行っている。ただ、同施設関係者は「入所者からの暴言や暴力行為がきっかけとなり、突発的に手が出ることもありうる」と打ち明ける。職員の負担軽減を図るため、人材確保を目指すが、「資質が乏しい人でも雇わなければやっていけず、業界全体が悪循環に陥っている。施設頼みの対策には限界があり、公的な支援が不可欠」と話した。

【 2018年10月10日 19時31分 】

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