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「小規模特認校」手厚い教育が魅力 京都・亀岡、通学の便課題

英語劇を練習する男子児童(右端)。特認校制度を利用して校区外から通う=亀岡市西別院町・西別院小
英語劇を練習する男子児童(右端)。特認校制度を利用して校区外から通う=亀岡市西別院町・西別院小

 京都府亀岡市教育委員会が、市内全域から通学を認める「小規模特認校」に山間部の東別院小と西別院小を指定し、1年半になる。少人数の手厚い教育を魅力に市中心部から通う児童がいる一方、通学の利便性や認知度の低さから思うように児童数が集まっていない現状がある。

 「レッツゴー・トゥー・オニガシマ!」。西別院小(西別院町)の教室で、1、2年の児童6人が童話「桃太郎」を題材にした英語劇の練習に励んでいた。鬼役の2年男子児童(7)は、同級生2人と一緒に元気よく歌い、台詞に声を張っていた。

 男子児童は、同小の校区在住ではなく、市中心部の市役所近くの自宅からスクールバスで30分ほどかけて通う。昨年春、市教委が始めた小規模特認校制度を利用して同小に入学した。男子児童は「友だちが優しく、学校の周りに自然がいっぱいある。毎日楽しい」と話す。

 特認校は、特色ある教育を提供することで校区外からの通学を認める学校。山あいの東別院小、西別院小とも児童数の減少が深刻で、東別院小(東別院町、計29人)は3・4年で、西別院小(計17人)は2・3年と4・5年で複式学級を採用している。

 市教委が、少子化を受けた学校規模適正化の議論を進める中で、学校統合せずに存続させ、児童数を確保する目的で導入した。「大規模校では合わない児童にとって選択肢になる。学校と児童、どちらの側にもメリットがある」と強調する。

 西別院小は、少人数を生かしたきめ細かい指導や、全学年で実施している英語教育などを独自の魅力としてアピールする。男子児童の母親は「引っ込み思案の傾向があり、1クラス30人前後の地元の学校では個性が埋もれてしまう。のびのびと過ごせており、行かせてよかった」と話す。

 東別院小の保護者の1人も「児童全員が助け合い、地域全体で成長を見守る土壌がある。多くの人に良さを知ってもらい、来てほしい」という。

 一方で、2校合わせた制度利用者は、1年目4人、2年目3人。複式学級の解消には至っていない。西別院小の木村正己校長は「来年度は、3人以上転入学してくれたら複式を一つ減らせるのだが」と期待する。

 思うように利用者が増えない理由の一つに、通学の不便さがある。2校とも山間部にあり、市教委はスクールバスを出しているが、午前7時15分に市役所を出発する1便のみ。市役所までは親の送迎が必要で、毎日となると負担が大きい。男子児童の場合も「うちは市役所まで歩けるが、6年間、車で送迎となると大変だったかもしれない」と母親は明かす。

 制度自体も広く知られておらず、今月15日からの来年度募集に向け、両小それぞれ特色や制度を紹介する案内書を市内の保育園や幼稚園、小学校に配って認知度アップに努めている。

 府内では、宇治市の笠取小が初の特認校として2001年に指定された。現在、児童数19人のうち特認児童が15人と大半を占める。宇治市教委は「20年近くたち、選択肢の一つとして認知された。制度は学校存続に欠かせない」とする。

 亀岡市教委は、特認校について「3年程度で複式が解消できない場合、改善策を含めて検討する」とする。両小校区では市教委の中学校再編案をきっかけに地域の小・中学校の在り方が話し合われている。制度をどう生かし、学校の未来をどう描くか。学校と住民、行政による丁寧な議論と取り組みが求められる。

【 2018年10月14日 17時00分 】

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