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京都・亀岡市のレジ袋禁止条例、府内自治体で温度差

大量のプラスチックごみが漂着する保津川。トロッコ列車から見える景観を阻害している(2015年12月、亀岡市内)=NPO法人プロジェクト保津川提供
大量のプラスチックごみが漂着する保津川。トロッコ列車から見える景観を阻害している(2015年12月、亀岡市内)=NPO法人プロジェクト保津川提供

 京都府亀岡市が罰則付きプラスチック製レジ袋禁止条例の制定に向けて動き出した。プラごみから保津川(桂川)の景観や自然環境を守るため、保津川下りの船頭や市民の活動を受け、全国初の規制に踏み切る。ただ市から協力を求められた上流・下流の市町長には温度差があり、2020年夏の施行を前に課題も多い。

■大量のプラごみ、観光にも影

 市が規制に踏み切る背景は二つある。

 一つは観光にプラごみが大きな影を落としている問題だ。保津川では豪雨のたびに大量のごみが漂着し、保津川下りやトロッコ列車の利用客から苦情が寄せられてきた。

 保津川遊船企業組合の船頭たちは2005年から清掃活動を本格的に始め、市は12年8月に国内外の研究者が議論する「海ごみサミット」を内陸部としては初めて開催した。川から海にごみを流さない運動が市民レベルで地道に進み、農業四方美代子さん(68)=京都府亀岡市大井町=のように「レジ袋がなければ工夫するし、環境への意識を変えなければ」という市民も徐々に増えている。

 近年、微小なプラスチックが生態系に影響を及ぼす恐れが指摘され、世界中でレジ袋禁止の動きが広がる。保津川に生息する天然記念物アユモドキを含めた自然保護への対策も急務になってきた。

■京都市「禁止しない」自治体間で温度差

 もう一つは、市内でレジ袋有料化が進まない現状だ。市は13年度に有料化推進を掲げたが、事業者は売り上げ減を恐れ、約760店のうち有料化に踏み切った店舗は1%以下にすぎない。

 桂川孝裕市長は「流域全体の取り組みが必要だ」として近隣の京都市、南丹市、京丹波町も規制するよう、呼び掛けた。南丹市の西村良平市長は「好意的に受け止める。市民の声を聞いて議論したい」と言い、由良川水系の京丹波町の太田昇町長も「歩調を合わせたい」と協力する考えを示した。

 しかし、流域の反応は一枚岩ではない。京都市の門川大作市長は「条例による上から目線の禁止はしない」と断言。同市には、事業者に粘り強く働きかけて大型スーパー全店で有料化を実現させたという自負があり、市環境政策局は「時間をかけて市民や店舗の理解を得ないと、大混乱に陥る」。京都府の西脇隆俊知事も「意欲は評価するが、市町村ごとに事情は違う」と府内市町村で一律禁止する条例には否定的だ。

 亀岡市は年明けに、事業者、市民団体との協議会を設け、店舗への支援や市民のエコバッグ持参率向上を含めた具体的な制度を詰める。プラスチックレジ袋を禁止する米国ハワイ州を参考に、コストの安い紙袋を店舗に提供できないか、検討も始めた。19年度中に条例提案し、従わない事業者の店舗名公表という罰則を設け、将来的には過料徴収も視野に入れる。

 市のアドバイザーを務める原田禎夫・大阪商業大准教授は「禁止の動きが行政主導ではなく、市民から生まれたことに意義がある」とし、「規制内容の広報やレジ袋削減に取り組む店舗や地域の先進事例について、行政、事業者、市民団体が連携して、情報発信していく必要がある」と指摘する。

 「全国に一石を投じる」(桂川市長)という今回の禁止案。施行まで1年半で、「レジ袋は受け取らない」という機運が市民にどこまで広がるか。成否の鍵を握りそうだ。

【 2019年01月10日 10時57分 】

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  • 大量のプラスチックごみが漂着する保津川。トロッコ列車から見える景観を阻害している(2015年12月、亀岡市内)=NPO法人プロジェクト保津川提供
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