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原発事故「普通の暮らし一緒に考えて」 京都に避難女性の声

自身が登壇する集会について構想などを練る加藤さん(京都市下京区)
自身が登壇する集会について構想などを練る加藤さん(京都市下京区)

 東京電力福島第1原発事故で福島市から京都市伏見区に自主避難している女性が、事故から8年となる故郷の現状を京都や大阪などで予定されている集会で報告する。「当事者が声を上げないと何も変わらない」。11日に龍谷大(同区)である報告会は自身が主催しており、避難者の立場を訴える。

 加藤裕子さん。震災時住んでいた故郷の福島市は原発から60キロ離れている。当初は「影響はないだろう」と考えていたが、テレビやラジオでは「外出する際は肌を露出せず、帰宅すれば服を処分か洗濯し、すぐにシャワーを浴びるよう伝えていた」。断水しているのにどうすればいいのか。国や行政への不信感が募る中、健康被害が心配になった。

 およそ1カ月後、スーツケース三つだけで大阪府高槻市に避難したが、避難者向けの情報は少なく、当時小学5年の娘とともに孤立状態に陥った。そんな時、京都市内の寺院で震災がテーマの集いがあると知り、駆け込んだ。そこで京都が福島を積極支援していると聞き、伏見区の合同宿舎に入居。「普通の主婦だけど、知らないと子どもを守れない」と、原発について学びはじめ、アルバイトのかたわら避難者への支援を積極的に訴えるようになった。

 今年2月には、父親の葬儀で2年ぶりに福島市に戻った。実家近くの空き地には汚染土が詰まった袋が山積みになり、近づくと線量計の値が上昇した。「事故はまだ終わっていないと実感した」

 11日に企画した報告会は「ふつうの暮らしとは何か?」がテーマ。午後2時から龍谷大至心館で加藤さんが福島の現状を発表し、原発賠償訴訟の原告になっているほかの避難者と討論する。定員30人。無料。9日は大阪市で、10日には長岡京市と奈良市で市民団体などが主催する集会で発言する。

 加藤さんは「住宅支援など、京都府の職員さんには親身になって対応してもらい、感謝している」と8年を振り返り、「福島市と福島第1原発の距離と、京都駅と若狭湾の原発との距離は同じくらい。京都の人も自分のこととして考えてほしい」と語る。

【 2019年03月10日 18時37分 】

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