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社説:パラリンピック 共生社会へつなげよう

 五輪の余韻がさめやらぬ韓国の平昌で9日、冬季パラリンピックが開幕する。

 大会は18日までの10日間、6競技80種目を行い、日本は車いすカーリングを除く5競技に38選手が出場する。

 さまざまな障害のあるアスリートたちが創意工夫を凝らして肉体の限界に挑む姿は、五輪とは違った感動を与えてくれよう。声援を送りつつ、スポーツを通じて多様性を認め合い、障害者と健常者の距離を縮めていく契機にしたい。

 日本人選手では、3大会連続の金メダルを狙うアルペンスキーの狩野亮選手や、練習で障害を負い、五輪からパラリンピックへと目指す舞台を変えたスノーボードの成田緑夢選手らに期待がかかる。

 北京、リオデジャネイロ両夏季大会で陸上男子走り幅跳びの銀メダリストとなりながら、今回スノーボードで冬季大会にも挑戦する山本篤選手らも注目株だ。

 一方、五輪と同様、国ぐるみのドーピング問題でロシアの選手は個人資格での参加となった。国威発揚を狙った過度なメダル至上主義が障害者スポーツにも広がっているのは極めて残念だ。スポーツのフェア精神を取り戻したい。

 パラリンピックは、第2次大戦後の1948年、ロンドン五輪にあわせてストーク・マンデビル病院内で開かれた傷病兵のアーチェリー大会が原点とされる。

 大会を始めた医師のグットマン博士は「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」と戦争で傷つき、絶望の淵にあった車いす患者を励ましたという。パラリンピックの底流にある精神をよく伝える言葉だ。

 スポーツが強制ではなく、障害者の希望となり、さまざまな個性が輝く。パラリンピックには、障害の有無を超えて誰もが個性や能力を発揮し、活躍できる共生社会に向けた多くのヒントが詰まっている。

 実際、パラリンピック開催に伴い障害者スポーツ施設の整備や公共施設のバリアフリー化が一定進んできた面がある。

 ただ、路上や交通機関で障害者や高齢者が困っているのを見かけた時に声をかけたり、手助けをする「心のバリアフリー化」はどうか。2年後の会場となる東京都の調査では、2割ほどにとどまる。

 東京大会に向けては、競技力の向上や裾野の拡大だけでなく、包摂と共生の環境作りが問われることになる。平昌の経験からしっかり学びたい。

(京都新聞 2018年03月08日掲載)

【 2018年03月08日 11時00分 】

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