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西田幾多郎の未公開ノート50冊発見 「思考過程たどる史料」

遺族から寄託された西田幾多郎の直筆ノート。湿気などによって損傷が激しかった(石川県西田幾多郎記念哲学館提供)
遺族から寄託された西田幾多郎の直筆ノート。湿気などによって損傷が激しかった(石川県西田幾多郎記念哲学館提供)

 「善の研究」などで知られる哲学者西田幾多郎(1870~1945年)の未公開ノート50冊が見つかったと、京都大などが30日、発表した。宗教学や倫理学と題した京大での講義ノートなどで、京大文学研究科の林晋教授(思想史)は「西田の生の思考過程をたどることのできる第一級の史料」と話す。

 石川県西田幾多郎記念哲学館(かほく市)によると2015年10月、遺族からノート50冊とリポート類250点が預けられた。東京都の遺族宅倉庫で保管されていた。湿気による損傷が激しく、奈良文化財研究所などの協力を得て汚れを落とした後、写真撮影して電子データ化。これまでノート14冊分の内容を書き起こした。

 これまで分かっている範囲では、最も古いノートは東大の学生時代だった1891~94年に書かれたとみられる。1928年の京大教授定年退職の前後に記された内容もあり、数十年にわたる思索の軌跡が刻まれている。英語やドイツ語を交えてつづられ、表紙に「倫理学」、宗教を意味する「Religion」などと記されていた。

 10年代に京大で教べんを取った頃に記されたとみられる倫理学講義ノートでは、客観的な現象と主観的な活動について「(純粋経験上)同一のもの」という記述があり、「善の研究」を執筆した初期の西田哲学のエッセンスが跡づけられる。アリストテレスやカントなどの古典から、ドイツの数学者デデキントや米国の心理学者ウィリアム・ジェームズといった同時代の学者にも言及。同館の中嶋優太専門員は「独自の哲学を展開した西田だが、幅広い範囲でほかの研究者の思索に関心を払っていたと分かる」と指摘する。

 現在もノートの解読作業は進めていて、西田が考えを深める過程について新たな視点を提供できる可能性があるという。

【 2018年05月30日 20時36分 】

ニュース写真

  • 遺族から寄託された西田幾多郎の直筆ノート。湿気などによって損傷が激しかった(石川県西田幾多郎記念哲学館提供)
  • 西田幾多郎が直筆で記した倫理学講義のノート(石川県西田幾多郎記念哲学館提供)
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