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京都「宿泊施設バブル」地上げ横行 観光公害、家賃倍増も

ホテルの建設ラッシュが続く京都駅南側。地価押し上げの大きな要因となっている(京都市南区東九条)
ホテルの建設ラッシュが続く京都駅南側。地価押し上げの大きな要因となっている(京都市南区東九条)

 京都市内で次々と建設される東京や外国資本のホテル、ゲストハウスなど簡易宿所の急増は、関係者から「宿泊施設バブル」の声が上がる。

 市街地の地価はつり上がり、不動産業者による「地上げ」もあちこちで発生している。

 会社社長の黒川美富子さん(72)の自宅=南区=には、不動産業者から頻繁に家の売却を求めるチラシが入るようになった。空き家と間違われたケースもあり、黒川さんは「庭の手入れもしているのに。私の家を何だと思っているのか」と憤りを隠さない。30年以上住むまちの激変ぶりに、「あまりにも市内に宿泊施設が集中しすぎている。国や自治体には住民の生活を一番に考えてほしい」

 借家住民に退去を迫り、宿泊施設に転用する事例も相次いでいるという。

 「来月から家賃が倍になります」。昨年11月、市内で借家に住む男性(68)は、管理会社の従業員に通告を受けた。

 妻(69)とともに、少ない年金と貯金を切り崩し、ほそぼそと生活してきた。4万円の家賃が8万円になってはとても生活できず、転居を余儀なくされた。後になって管理会社の関係者から、宿泊施設に転用するための追い出しだったと聞いて、がくぜんとした。

 市内の宿泊施設数は2015年度末の1306カ所から、わずか1年間で2121カ所と1・6倍にまで増えた。15日の民泊新法施行が、増加に拍車をかける可能性もある。

 逆に地価の上昇でマンションなど住宅着工は減退。建っても高額な「億ション」が目立つ。東京や中国の富裕層がセカンドハウス(別荘)として買い占めるケースが多く、若年層は手が出にくい状況だ。実際、市が昨年末に発表した30代対象の年間転出入調査によると、市内から周辺自治体へ約1200人の転出超過となっていた。まちづくりの中核となる子育て世代が、市から離れている。

 宿泊施設の急増が一変させつつある京のまちなみ。経済への恩恵の一方、市民生活の安定や活力を奪う現実を見た。市は「観光と市民生活の調和」を目標に掲げる。危機感を持って、具体策を打つべき時だ。

【 2018年06月08日 12時40分 】

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