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社説:三日月氏再選 独自カラーをもっと鮮明に

 滋賀県知事に現職の三日月大造氏が再選された。新人で元滋賀大副学長の近藤学氏との一騎打ちを大差で制した。

 三日月氏は2014年の前回知事選で、嘉田由紀子前知事の後継指名を受けて民主党衆院議員から転身し、初当選した。今回は国民民主党県議らでつくる地域政党チームしがに加え、自民党、公明党からも支持を得た。

 再選は1期目の県政運営が評価され、次の4年間への手腕に期待が集まった結果といえる。「人、社会、自然」の健康実現を掲げた三日月氏には、山積する県政課題に果敢に取り組んでほしい。

 だが、投票率が前回を大きく下回り、過去2番目の低さだったことは看過できない。

◆相乗り「理解できず」

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初の知事選でもあった。県民の暮らしに直結する課題解決の担い手を選ぶ選挙が、極めて低調だったのは残念である。

 有権者の関心をそいだのは選挙構図だ。共産党を除いて国政で対立する与野党がともに三日月氏を支持し、28年ぶりの「非共産対共産」の現新一騎打ちとなった。

 告示後に京都新聞社が県内有権者を対象に実施した世論調査では、相乗りを「理解できない」と答えた人が半数近くを占めた。

 前回は独自候補を立てて三日月氏と激しい選挙を繰り広げた自民だが、三日月氏が大戸川ダム(大津市)の凍結見直しに触れたことなどから支持に回った。

 大戸川ダムは嘉田氏が建設に反対。ダムに頼らない流域治水推進条例を成立させた。

 県は近年の局地豪雨などを踏まえ、ダムの治水効果を検証する勉強会を発足させた。三日月氏は県議会で「必要な見直しができるよう努める」と発言した。

 2期目の三日月県政にとって当面の焦点となりそうだ。勉強会の検証も踏まえながら、慎重に判断しなくてはならない。

 嘉田県政時代からの政策の転換になれば、支持してきたチームしがをはじめ反発も予想される。

◆正念場を迎える湖国

 全国でも数少ない人口増加県だった滋賀は、14年の推計値で141万6500人と48年ぶりに減少に転じた。

 これまで人口減少に伴う諸問題は他府県と比べると抑えられてきた。いよいよ本格的に向き合う時代を迎えている。

 県南部では子育て世代の流入が続く地域もあるが、北部などでは過疎化や少子高齢化が著しい。多くの中小企業などで働き手が足らず、若年層の流出が地域社会の担い手不足を招いている。

 琵琶湖を中央にそれぞれの地域で発展してきた滋賀の姿を、どう持続するかが問われている。各市町とも連携して、きめ細かく取り組まなくてはならない。

 平均寿命が男性は全国1位、女性は4位の「長寿県」となったのは誇らしい。だが、介護や医療サービスの整備に遅れが指摘されている。

 さらに原発再稼働への対応や琵琶湖の環境保全、教育の充実など多くの課題がある。

 一方で、今年2月に公表された県財政の収支見通しでは、26年度までに財源が939億円不足するとされている。

 全国有数の内陸工業県として第2次産業のウエートは依然高いが、産業構造や経済情勢の変化を見据えた新たな税収確保が求められるのはいうまでもない。

 そんな中、選挙でも争点となったのが24年滋賀国体の巨額経費だ。県は彦根総合運動公園の整備や運営費などに総額約450億円を見込む。今後さらに膨らむことも予想されている。

 県民のスポーツ振興や健康づくりの環境整備は大切だが、妥当な投資なのか中身が厳しく問われる。県民の理解が得られるよう十分な説明が必要だ。

◆県政運営は手堅いが

 三日月氏は民主党衆院議員を務めた後、政党推薦を受けずに知事に初当選してからは、各方面に目配りし、協調を重視した手堅い県政運営を進めてきた。

 嘉田県政は新幹線新駅凍結などの施策を掲げて県民の支持を集めた一方、実現を巡って摩擦も多かった。それと比べると、様変わりしたといえよう。

 今回の選挙で支持政党が広がった背景には、そうした姿勢が評価されたことがある。

 東京に県の情報発信拠点「ここ滋賀」を開設し、琵琶湖を自転車で一周するビワイチ観光を推進するなど地域振興にも力を入れた。経済界と良好な関係を築き、選挙母体「健康で元気な滋賀をつくる会」の会長は滋賀経済団体連合会会長が務めた。

 だが、良くも悪くも県民にとって「顔の見える」知事だった嘉田氏と比べると、1期目はややアピールに欠けると感じた人もいたのではないか。

 まだ47歳と若く、国政での経験もある。バランス感覚だけではなく、変化の時代に対応して滋賀を引っ張っていくような、さらなる行動力を期待する県民は多いはずだ。2期目はより鮮明な三日月カラーを打ち出してほしい。

【 2018年06月25日 11時04分 】

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