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帰宅困難対応に明暗、京都市は避難所設けず 大阪北部地震1週間

JR京都駅の改札前に座り込んで運行再開を待つ利用客。一様にぐったりとしていた(18日午後9時半、京都市下京区)
JR京都駅の改札前に座り込んで運行再開を待つ利用客。一様にぐったりとしていた(18日午後9時半、京都市下京区)

 18日に発生した大阪府北部地震は京都府内でも震度5強を観測し、JR東海道線は京都市下京区の京都駅で最大14時間止まった。再開を待つ多くの利用客が駅に詰め掛ける中、長岡京市と大山崎町は「客を放置できない」として駅前に避難所を設けた。一方、最も混雑した京都駅の周辺には避難所が設置されず、客から不満の声も漏れた。京都市は「けが人が出る二次災害の危険はなかった」と見送りの理由を説明する。なぜ対応に差が出たのか。当日の動きを追った。

■長岡京市・大山崎町は避難所開設

 長岡京市のJR長岡京駅では電車から降ろされた乗客が駅前広場にあふれ、市は午後1時、駅前の公共施設「バンビオ1番館」を開放。スマートフォンの電池切れで情報収集が難しい人のため、テレビを置いてニュースを流した。最も多い時で200人が身を寄せ、大阪市の会社員佐藤治さん(50)は「疲れた身にはありがたい」と感謝した。

 大山崎町も午前10時ごろ、JR山崎駅と阪急大山崎駅前の大山崎ふるさとセンターに避難所を設け、25人が利用。帰宅困難の3人は宿泊した。町役場でも職員用の部屋で避難者を受け入れた。

 両市町とも、2011年の東日本大震災時、首都圏の駅が利用客であふれた問題を受け、防災計画を改定し、帰宅困難者対策を定めていた。長岡京市の担当者は「運行再開が不透明な中、利用客は放置できず、早めに対応した」。

■京都駅大混乱も、京都市は避難所開設せず

 一方、京都駅利用客の避難所は設置されなかった。改札前は利用客であふれ、疲労で通路に座り込む客が続出した。

 京都市も13年度、帰宅困難者対策の計画を策定し、京都駅周辺に休憩所や情報提供スペースを設け、運行状況を多言語で伝えることになっていた。しかし、帰宅困難者は「宿泊しないと帰宅できない人」という想定で、午後3時すぎにJR西日本側から「東海道線は午後5時ごろに再開予定」と伝わったことから、設置の判断を保留した。

 その後、再開見込みは「7時以降」に変わり、さらに「10時以降」までずれ込んだ。結局、JR西が在来線ホームに乗客を入れたのは午後10時前だった。

 京都市は、午後5時から駅周辺のホテルなどに受け入れを打診し、駅前のホテルに水や食料を運び込んで準備を始めた。その上で、終日運休となった山陰線ホームなどで帰宅困難者がいないことを確認し、開設を見送った。

 市まち再生・創造推進室は「JRからの情報が二転三転し、開設の判断が難しかった」と振り返る。「協定を結ぶ駅周辺の6事業者に宿泊・休憩所設置を問い合わせたが、断られたり、連絡がとれなかったりした施設もあった」と課題も挙げた。

■利用者目線で検証を

 市は「帰宅困難者は出なかった」との立場を取るが、京都駅でひたすら運行再開を待った甲賀市の会社員若林佑哉さん(22)は、午後4時の時点で「JRしか帰宅の交通手段がなく、もう7時間以上、ここにいる。いすやソファを用意しろとは言わないが、再開情報が全くない中、せめて私鉄やバスを乗り継げばどこまで帰れるのかといった情報を提供してほしい」と注文した。

 「帰宅困難者」への対応を巡り自治体間で判断が分かれた今回の地震。計画の実効性について、利用者目線での検証も必要だ。

【 2018年06月25日 11時30分 】

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