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認知症早期把握・支援へ 京都、地域や医療機関が連携網活用

定期的に開かれる西京区の認知症初期集中支援チーム員会議。医師や看護師、ケースワーカーら多職種が集い、それぞれの視点から最適な支援を考える(京都市西京区・京都桂病院)
定期的に開かれる西京区の認知症初期集中支援チーム員会議。医師や看護師、ケースワーカーら多職種が集い、それぞれの視点から最適な支援を考える(京都市西京区・京都桂病院)

 認知症の疑いがありながら適切な医療や介護を受けていない人を早期に把握しようと、京都市が多様な専門職による「認知症初期集中支援事業」に取り組んでいる。医療と介護職が一緒に自宅を訪問するなどの積極的な関わり方を通じて、早い段階で本人や家族の悩みを聞き、必要な対応をとることで住み慣れた地域での暮らしを支える。中でも、西京区は長年かけて築いた医療機関や地域の連携網を生かした独自の形を目指す。

 6月下旬、「西京区・西京区洛西支所認知症初期集中支援チーム」の会議が京都桂病院で開かれた。西京区では、市の委託を受けた同病院の運営法人が昨年7月に支援事業を開始、事例検討のためのチーム員会議を定期的に開いている。メンバーは病院の精神科医や看護師、区のケースワーカーら約10人。直近の訪問状況を看護師や地域包括支援センター職員が報告し、今後の方針を決めていく。

 最初の事例は、「物忘れがひどい」と高齢者家族からの相談。自宅訪問の際に行った問診結果を共有し、「早めの介護保険サービスが必要」「日常生活で困っている割に認知機能の検査結果は悪くない。隔たりが気になる」といった意見を出し合う。喫緊の課題などを30分ほどかけて検討し、次に移った。

 介護の相談は地域包括支援センターに-。ここ10年ほどで浸透してきた仕組みだが、集中支援はより細かな対応を目指す。医療・介護職が専門的な視点から現状を把握したうえで、多職種からなるチーム員会議で多角的に検討する。「認知症と思っていたらうつ病ということもある。早い段階での正確な診断が大切」。チームで認知症サポート医を務める精神科医の岸信之さん(59)が語る。

 約半年で本人に適したサービスにつなぐことを目指しているのも事業の特徴だ。支援の「出口」はどうなっているのか。西京区では、11年前に発足した「認知症地域ケア協議会」が役立っている。医療機関や当事者団体、行政などの連携網で、「長年かけて築いてきた協議会という土台の上に集中支援がある」と岸さんが話す。

 事業開始から1年。課題は、地域包括が支援事業の窓口を担う仕組みづくりの確立だ。岸さんは「地元の高齢者に一番詳しいのは地域包括。そこを窓口に情報を集約し、初期集中支援チームが機能するのが最も望ましい形だと思う」と話す。

 だが、本年度にチームにあてられた予算は約1千万円。活動に必要な費用を考えればチーム員専従の看護の人件費にも足りない。「すでに手一杯の地域包括に窓口まで担ってもらうのは、現状ではとても無理」。今後、市に予算措置などを働きかけたいという。

 チームを知らない人もまだ多いと感じる。「早い段階で適切な支援があれば認知症であっても地域で生き生きと暮らし続けられる。気になることがあれば、気軽に相談してほしい」

【 2018年07月30日 12時58分 】

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