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滋賀県警、虐待取り扱い急増 事件性疑いは速やかに対応

大津・高島子ども家庭相談センターに出向する滋賀県警の警察官。事件化すべき虐待事案を県警に連絡する(大津市)
大津・高島子ども家庭相談センターに出向する滋賀県警の警察官。事件化すべき虐待事案を県警に連絡する(大津市)

 滋賀県警が取り扱う児童虐待件数が、昨年1年間で過去最多の1096件となり、2015年の約4倍に急増した。県警から県子ども家庭相談センター(児童相談所)に警察官が出向し、少しでも虐待の疑いがある事案全てに対応するようにしたことが背景にある。一方で、関係機関が問題を把握しても保護者に拒まれると、それ以上は踏み込みにくいという支援の難しさも依然としてあり、悲劇を防ぐには課題も多い。

 県警は13年度から同センターに事件捜査の経験者を出向させ、現在は彦根と中央(草津市)、大津・高島(大津市)の3カ所の同センターに各1人が勤務し、虐待の疑いがある全情報について事件性の有無を判断している。傷害や暴行事件として捜査すべき事案は速やかに県警に連絡している。

 県警から同センターへの連絡も密に行っている。16年に埼玉県で女児が虐待死した事件を受け、県警少年課は従来の基準を見直し、県警が把握した事案で少しでも虐待の疑いがあれば、同センターに通告するようにした。

 こうして連携を強化した結果、県警の児童虐待取扱件数は、15年の259件から、17年は1096件に増加。同センターに通告した児童数も、延べ148人から延べ839人に増え、県警は「重篤な虐待になる前に芽を摘むことにつながっている」とする。

 昨年12月、毎日のように深夜に子どもの泣き声が聞こえる家があると110番があった。警察官が現場へ駆けつけたが家に人けはなく、朝まで待ち続けた結果、母親が帰宅した事案があった。体にあざがある未就学児1人を保護し、同センターに通告した。子どもの安否を徹底的に確認する取り組みの成果という。

 一方で、昨年8月に草津市で3歳児が父親に布団の上に放り投げられ、頭などを踏みつけられて死亡した事件もあった。同市は育児負担軽減のため、支援サービスの利用を提案していたが父親は断っていた。県警は事件が起きるまで家庭内の問題は未把握だった。

 突発的な虐待をどのように防ぐのか。県警少年課は「見えないところで苦しんでいる子どもをどう助けるかが課題。子どもは自らSOSを出せないため、家庭内の問題が表面化してからでは手遅れになってしまう場合もある」と頭を悩ませる。

 県警の通告を受ける側の負担増大も課題だ。県家庭相談センターは通告を受けると、職員がもれなく通告対象の家庭を訪問しており、対応できる人員はぎりぎりの状態という。同センターは「現場は大変だが、重篤化のおそれがある事案を素早く把握することにつながっている。警察と連携を強め、粘り強く子どもを守っていく」としている。

【 2018年08月01日 08時50分 】

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