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高齢者の身元保証でトラブル 「知らぬ間に高額契約」

重度の認知症を患う原告の女性が入居施設と交わした書類の一部。身元保証業者が代理人欄などに署名している=画像の一部を加工しています
重度の認知症を患う原告の女性が入居施設と交わした書類の一部。身元保証業者が代理人欄などに署名している=画像の一部を加工しています

 身寄りのない高齢者を対象にした介護施設入所時の身元保証ビジネスを巡り、消費者トラブルが相次いでいる。2016年に公益財団法人「日本ライフ協会」(東京都)の預託金流用事件が起きた後、全国各地の消費生活センターに「知らない間に高額契約を結ばされていた」などの相談が増えた。京都でも、重度の認知症患者が違法な形で契約させられたとして、民事訴訟が起こされている。専門家は「家族の存在を前提とした社会保障制度のひずみが現れている」と指摘する。

■入会金72万円・会費月1万円…

 京都市伏見区の特別養護老人ホームに入居する女性(91)は2年前、地元の身元保証業者「京都高齢者支援協会(かたつむりトラスト)」と契約した。身元保証をはじめ、死亡した際の葬儀費、家財処分費などの名目で、入会金72万円に加え、毎月1万円の会費を納めてきた。

 契約の翌年から女性の成年後見人を務める三上了資弁護士によると、女性は契約時、山科区のアパートで1人暮らしをしており、重度のアルツハイマー型認知症を患っていたという。「当時の記憶は何もない。業者は女性の状態を分かった上で、契約を交わしたのではないか」と疑問視する。女性側から相談を受けた消費者保護団体「京都消費者契約ネットワーク」は今年7月、かたつむりトラストに入会金の返還などを求めて京都地裁に提訴した。かたつむりトラストは「女性は必ずしも判断能力がなかったわけではない。訴訟には誠実に対応したい」としている。

 身元保証ビジネスに注目が集まるようになったのは、16年に日本ライフ協会が身寄りのない高齢者からの預託金約2億7千万円を流用していたことが発覚したのがきっかけだった。各地の消費生活センターには「預けた通帳や印鑑が返って来ない」「知らない間に200万円を超える契約を結ばされていた」といった相談が相次いでいる。

 背景には、身寄りのない高齢者は、保証人がいないため、介護施設への入所を断られる事情がある。厚生労働省は日本ライフ協会の流用事件を受け、正当な理由がないのに高齢者へのサービス提供を拒否しないよう、自治体を通じて施設側への指導を強化している。しかし、厚労省が昨年実施した調査では、9割以上の施設で契約書に本人以外の署名を要求し、このうち3割の施設は、身元保証人がいない場合、「受け入れない」と回答した。

 一方、身元保証業者を監督する国の機関や規制は未整備で、運営は事業者任せとなっている。高齢者問題に詳しい佛教大の新井康友准教授は「消費者側が優良な事業者を見極めることは難しい。認可制度や監督機関の設置など、早急な対策が求められる」と話している。

【 2018年08月20日 09時30分 】

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