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道の駅にホテル、反発受け宙に 景観や地元業者への影響懸念

ホテルの建設計画がある道の駅の第2駐車場(伊根町亀島)
ホテルの建設計画がある道の駅の第2駐車場(伊根町亀島)

 京都府伊根町亀島の道の駅「舟屋の里伊根」敷地内に民間のホテル建設計画が5月に浮上した。町は「宿泊施設不足を解消できる」といったメリットを挙げるが、地元団体は「舟屋が並ぶ景観にそぐわない」「地元業者を圧迫するのではないか」などと反発。7月には進出反対の意見書を町に提出した。現在、計画は宙に浮いている。

 「従業員を取られてしまうのではないか」。6月18日に町商工会、町観光協会、伊根浦舟屋群等保存会の3団体の会員向けに町内で開かれた説明会。町が説明するホテル計画に、不安の声が挙がったという。

 町企画観光課によると、事業者は不動産大手の積水ハウス(大阪市)で、2017年5月に府を通じて打診があった。説明会で町が公開した資料によると、ホテルは軽量鉄骨構造2階建てで部屋数は50室程度。宿泊料金は1室1万2千円ほどで、食事の提供はない。

 予定地は国の重要伝統的建造物群保存地区内にある。同課の上山富夫課長は「予定地は(高台にあり)舟屋は望めない。地元業者とは競合しないと考えている」と説明する。町は土地使用料収入と一定の雇用創出などを見込む。

 同課によると、現在、同地区内の宿泊施設は16軒。うち13軒は舟屋民宿で、基本は1組が利用する「一棟貸し」となっている。近年は外国人観光客も増加しており、上山課長は「ホテルができれば、祭りの時期や年末年始に対応できる。観光消費額を伸ばすことができるだろう」という。

 一方、地元団体は「地域住民による宿泊施設の新規開業などに影響があるのではないか」などと懸念する。伊根浦舟屋群等保存会の永濱貢会長(71)は「舟屋は魚釣りをしたり漁に出たり、思い出の詰まった場所。他力本願でなく、住民主体で地域を盛り上げみんなが恩恵を受けられるようにしたい」と話す。

 3団体は7月、進出反対を表明するそれぞれの意見書を町に提出した。これに対し、町は8月6日付で3団体に「住民の皆さまの賛同と地域の理解が無ければ、用地提供をはじめ事業に協力することはできない旨、京都府と事業者に伝えた」と返答。積水ハウスは「何も決まっておらず、説明できることはない」(開発事業部)としている。

 同町の17年の年間観光入込客数は約30万人。町は「伊根浦観光振興ビジョン」の中で、20年をめどに年間50万人の入込客数を目標としている。観光関係者からは「ホテルの計画はデータや専門家の意見など経済効果の具体的根拠が示されず、賛成できない」という声もある。町の歴史や文化を踏まえ、観光振興の方向性について行政と地元住民が対話を重ねることが求められる。

【 2018年09月09日 20時30分 】

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